□読み切り
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血の匂いを漂わせていつも玄関に立っているヒットマン。顔は血を浴びているのにも関わらず、全くと言って良いほど血の気がない。気に入りのボサリーノを脱ぎ額に手をあて、軽いうめき声をあげる。これが最強のヒットマンだと思いたくない光景だ。着ているスーツは勿論、血塗れで銃弾ねせいで破けた跡がいくつかあった。スーツが血塗れということはよくあることだが、スーツが破けていることは今までなかった。秒速で射撃する凄腕ヒットマンが自身を傷付けるなど、誰が予測していただろうか。誰も予測なんてしていない。



「俺があいつを死なせた…あいつは…」



戦闘の中、リボーンさパートナーと共に戦っていた。相手はボンゴレと同じくらいの力を持っているファミリー。かなり手強ファミリーだった。リボーンとパートナーはそのファミリーを撲滅することが目的だった。相手ファミリーも同じくボンゴレを撲滅することが目的だった。そのためか戦闘は余りにも過激過ぎだった。その戦闘の中、一つの銃声が聞こえた。



「リボーン!!あぶないっっ!」



長い戦いの為か、疲れが見え始めその隙を狙って相手はリボーンに向かって銃弾をはなった。傍にいたパートナーが、それに気付きリボーンの前に飛び出した。リボーンに向けて撃ったその銃弾はパートナーの左胸見事に命中してしまった。


「お前、何で俺を庇った!」


「…私の…大事な人…だ…か…ら…」


口からは大量の血が吐き出されている。もう何も出来ないパートナー。最初で最後の…初めて好きになった女―初恋は叶わないだなんて皮肉過ぎる。だから…こんな状態で死なせることになるなんて…リボーンは思ってもいなかった。せめて俺の居ない場所で、遠い所で死んで欲しかった…



「ないている…の?リボーン…」



もう、感覚なんてないのだろう。痛いという感情が伺えない。口からはドクドクと血が流れ出て、ぽっかり開いた左胸は服を赤で染めていた。

呼吸は乱れていて、話すことは相当辛いに決まっている。なのにリボーンに話しかける。死にかけた母親が子供に向かっで生きていくのよ゙とでも言っているかのように。

リボーンの横に仰向けに倒れている。リボーンは普段流さない涙をハラハラと流していた。ポーカフェイスのリボーンにとっては驚きの産物だが、今はそんなことは気にしていられない。何故なら、好きな女が血を流して倒れているのだから…



「俺は…俺は…お前のことを…誰よりも愛していた」


「……わ、たしだ、って…」


゙愛してる゙


愛していたじゃなく愛してる。死ぬ時になっていたって現在進行形で愛してる。

パートナーは最後の力を振り絞ってリボーンの頬に手を添えた。その手は冷たくなっていた。手についた血はまだ新しい血でリボーンの頬を軽く赤で染めた。


「ありがとう」


その一言で力尽き手はリボーンの頬から離れてぱたりとコンクリート地面に落ちた。それを見た、相手ファミリーはまた、リボーンに向けて銃弾を放った。しかし、当たる気配はない。


「俺が受けるはずの弾をお前が受けただなんて許せねぇぞ…一生…」


ぎゅっと唇を噛み怒りに満ちたリボーンは狂ったように銃弾を乱射した。涙と血がごっちゃ混ぜになった例にない戦闘となったのはボンゴレ歴史上今だかつてなかった。


静かになった戦場。血塗れになったリボーンとパートナーの遺体。相手ファミリーの無惨な姿の遺体がごろごろと転がっていた。スーツは銃弾の跡がハッキリと残り、返り血が掛かった顔がそこにあった。


「帰ってこい。俺の元に…今度は俺が銃弾を受けてやる」


リボーンは覚束ない足でパートナーを医療班に託し、(愛しい人の死んだ顔を見たくないため)そのまま本部に帰った。

玄関に立ったリボーンは…


初めて


大声で


叫ぶように


な い た





(居ないと分かっていても)
(帰って来て欲しいと思うのは)
(何故なのだろうか)

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