□読み切り
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君は、一体何者ですか?僕の一体何なのです?ハッキリ言いましょうか、目障りなんです。僕の視界をせわしく動き回って、呆れることばかり君は話しかける。苦痛にしか思えませんよ。君のことなんか一瞬で消すことだって出来るんですよ。だけど…何故出来ないのでしょうか…いつもの僕ではありません…君が目の前に現れた時から、僕はなんか変です。



「骸の髪って綺麗だよね〜」
さらさらしてて、柔らかい。


君だけです。そんなことを言うのは…何故です?何故、僕のことを構うのですか?疑問詞ばかりが飛び交います。僕は一人でいるほうが断然楽なんですよ。君は必要ない。寧ろ、存在しないほうがいい、消してしまいたい。
温かさもなにも、感情自体分からなくなってしまう…君がいることで…
何故、君はこんな僕の側にいて飽きないのでしょうか。こんな罪人のとこに居て何が楽しい…何が嬉しい…
苦しいです、いなくなって下さい…僕の…世界から…

「骸?苦しいの?」

優しい声…

「何か欲しいものでもあるの?」

甘い吐息…欲しいもの?嗚呼…ありますよ…今すぐにでも欲しいものが…今―目の前に――…‥


「私はちゃんと意味があって骸の傍にいるんだよ?」

そう言ってまた、僕の頭を触る。この温かさが僕は欲しい。いや、欲しかった…
今まで持たなかった感情が溢れてくる。体の底から湧き出てくる。体内を駆け巡る自身の血。君を―僕は―…


愛しく、狂おしい――


「君が僕の傍に居てくれるのなら…」

僕は…

何時だって一人だった

君は…

天使のようだった


「苦しくも何もありませんよ。僕は君が欲しいです」

「分かった。ずっと傍に居てあげる。骸のことを救ってあげる」


罪人である僕を優しい手が頬に触れた時―

僕は、


涙を流した―…



君がそう言ってくれるのを待っていたかのように…


「泣いていいんだよ。たくさん、たくさん泣いて汚れたものを洗い流そうね?」


嗚呼、君は一体何者なのでしょうか?何回そう問えば答えてくれるのですか?僕に疑問詞ばかり作らせないで下さい。僕にも君のことを…


「君は…「私は骸だけの救世主(メシア)」


「あなたと同じように輪廻を廻るもの。だけど全てを廻ったわけじゃない。天界と地獄を行き来している罪ありし救世主」

「僕と同じ輪廻を廻るものなんですか?」

「そんな骸を私は救いに来た。私も罪人。罪人同士が一緒にいても誰も文句は言わない」

天界のものであり地獄のものでもある、そういうことですか?理解しがたい事実を今更言わなくても…


「行こうか、骸。新しい世界を作る旅に」



残酷にも光る太陽。それが彼女の顔を明るく染めた。眩しくて見ることが出来ない、その笑顔はまさに…


救世主だった―






(もう一度問わせて下さい)
(君は一体何者ですか?)
(私は骸だけの救世主)
(救いに来ただけ)

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