…
□ショート
7ページ/7ページ
カタカタ・・・カタカタ・・・
部屋にはそれしか響かない。
音フラグ
鳴り止むことは決してない、機械音。その音はいつかノイローゼになるフラグを立たせる。一日中響く音。音によって支配される部屋。目に見えない敵と戦っている彼。
彼はミルフィオーレの幹部
入江正一だ
「正一。飯また食ってねーのか?」
「……うん」
「仕事熱心なのはいいことだが、自分の身体もちったぁ考えろ」
目の前にあるパソコンに一旦食いつくと高確率で一日中音を鳴らしている。仕事をしているのは分かっていても、その様子は異常だ。
「何故、必死になるんだ」
「白蘭さんを倒すためさ」
「またそれか。他に理由はないのか?」
そう言った途端、彼の動きが珍しく止まった。
「君を守るためだよ。白蘭さんを倒す以外に目的はある。それが君さ」
「私を守ってなんの利益があるって言うんだ」
「白蘭さんは君を手中に納めようとしているんだ。一人じゃ嫌だから側にいて欲しい人を探している。それが君なんだ」
真剣な眼差しで見る彼に反論する言葉は見つからなかった。彼は本気だった。今、目の前にいる愛しい人を守るために・・・
自分を犠牲にかけている
「男が女を守るなんて古い考え。私だって正一を守る。理由は一つ。好きだから」
お互い守りあって行こうじゃねーか
(そして二人は失敗しても成功しても互いを忘れることはなかった。そう、ずっと一緒だった)