ほのかに薫ものども

□2 光の影
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―正と負が混ざりて、零となる者に―
―正と成れの果てで再度巡り会う―
―光に満ちた聖なる血肉を食わんとすれば―
―夜は光の影にて総てを支配し飲み込まんとす―



2 光の影



「それって何時読んでも分からないよ…」

「確かにね。赤ん坊、それなんの意味があるのさ」

「俺にもさっぱりわからねぇ…ただ分かることは薫が関係しているってことだ」

薫は泣き疲れたせいでリボーンにひざ枕されてリズムの良い寝息を立てて寝ている。

リボーンの手には古びた紙が握られている。所々破けていて少し黄ばんでいる。文面は何故かしっかり書かれている。

「得に意味がわからねぇのは《正と負が混ざりて零となる者》だな…後は何と無くわかるんだが」

「俺は全然分からないよ…大体何処で手に入れたんだよ、それ」

「今は話せねぇな。協会のほうにもまだ知らせていねぇからな」

「協会ね〜」

協会のことについてはまた後の話し。寝息を立てている薫を余所に三人は話しを続ける。

「まだ分からないことがあるんだけど…」

「なんだ雲雀」

「赤ん坊は一体何がしたいのかって綱吉が聞いた時薫が話してくれるって言ってたけど…」

「あぁ、そのことか…」

リボーンはしばしば黙り込んで考えてから言った。

「薫の話しの中に殆ど入っていたけど分からなかったのか?」

からかうようにしてリボーンは軽く鼻で笑った。雲雀はそう言われても分からず首を傾げていた。

同じく綱吉も首を傾げていた。

「薫が話していたバンパイアの世界の事や出生の事が俺が気になっていたものだ。おまけに薫はなんの混血だ?」

リボーンは敢えて答えをすぐ出すのではなく二人に分かってもらうように問い掛けた。

「バンパイアと人間の…「聖肉の血とバンパイア」

「その通りだ雲雀。聖肉の血はなんだ?」

「バンパイアにとって究極の……まさか!」

リボーンは綱吉が分かったのを見てニヤリッと笑った。その笑いが少し不気味で…

「俺たちはハンターだ。だから薫を保護することにする」

「で、でも半分バンパイアなんだよ?」

「薫は作られたって言っていやがるが…バンパイアは聖肉の血を食らおうと今死に物狂いで探しているだろうよ…つまり…」

「薫を野放ししとけばバンパイアはいつか薫を食らい力を得るって事か」

「リボーン、薫ちゃんは追われていないんでしょ?」

「今まではなな…」

今までは襲われたりしなかった薫が今になって襲われようとしているのか?リボーンが手にしていた黄ばんだ紙は一体なんだろうか…

ただ謎が深まるばかりだった。まだ扉は開きそうになさそうだ。


――冥界の扉今開かれよう――
―――導け我らの野望―――



(まただ…またあの声だ)



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