ほのかに薫ものども

□3 逆襲の兆候
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パルカ。イタリアで運命の女神と言われている。ギリシャ神話ではモイラに値する。性格、姿共に似ている。パルカはローマ神話の一人にすぎない。そして、そのパルカは人界に降り立ったと言われ、魂は人間の肉体を媒体とし生き続けている、と考えられている。


「つまり、魂は壊れないまま人界を徘徊しているってことか、コラ」


「そういうことになるね」


「問題はそのパルカがオレたちの前に現れてしまったことだろ」


「あぁ、俺たちも《運命》に関与しているからな」


「じゃあ、どうすればいいんですか先輩」


アーサー伝説に出るような円卓の騎士のように丸いテーブルを囲み、何やら話している八人のハンター。そのうち七人はアルコバレーノだ。


「ところでそのパルカは今何処にいるんだい?」


「ツナとディーノのとこにいる」


「あぁ、最上階にいるのか」


「協会って言うが、高層ビル並に高い建物だな、コラ」


ボンゴレ協会は地下10階地上30階建ての建物だ。見た目は普通のビルだが中は変わっている。明らかに外国製のシャンデリアとソファー。多分、かなりの値が付く絵。洋服を着ていないというよりラフな格好の人はいない。みんなスーツを着ている。稀に白衣を着ている人もいる。


各階ごとに部所らしきものが設けられており、その階には必ずリーダーがいる。地下はハンターたちの場所。簡単に入れないようになっている。セキュリティが万全にしてあり、他の者が例え入るようなまね事があったとしても完全に侵入できないシステムが施されている。


「他に話はないのか?ないなら失礼するよ」


「これからだぞヴェルデ。お前が興味を持つような話が一つある」


リボーンはニヤリッと笑ってヴェルデに言ってやった。ヴェルデは黙って席に着いた。そこで今の今まで沈黙を維持してきたユニが先頭を切った。


「皆さん、お話したいことがあります」


他のどのアルコバレーノよりも幼い彼女はハッキリとした声で話した。


「白蘭という人物について話さなければならないことがあります」


この時、誰もが生唾を飲んだことだろう。新しい協会が出来たという噂は聞いていたらしいがそのボスがまだ二十歳にも満たない青年であることは知らないだろう。


与えられたキーワードは時間をかけて繋がっていくだろう。しかし、時間さ待ってくれない。だからこそ急がなければならない。始まりがあれば終わりはあれが、世界はまだ終わりを告げていない。パルカの魂も終わりを告げていない。


私達はいわば二回この世に生まれる
一回目は存在するために
二回目は生きるために
ルソー



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