禁断の花園

□第1章〜恨みは蜜の味〜
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あれから月日は流れ――――…



僕は片時もトモを忘れた事はなかった。

高校を卒業した僕は、大学入学と共に実家を出た。
大学は遠く離れた学校を選び、両親以外の誰にも行方を知らせず家を出た。

あの町は僕にとって辛すぎる――あまりにも、トモを思い出してしまうから。




僕は誓ったのだ、トモの遺骨が入った壷を持ちあげた時―あまりの軽さに驚いたあの日。
必ずヒコ――いや、達彦に復讐を遂げると。
純粋に達彦のことを愛していたトモを、あいつは弄び傷つけて…殺した。
許さない。例え法で裁けなくとも。
あれはただの事故ではない、原因はアイツなのだ。アイツがトモを傷つけたから。




大学生活はまるで味気のない毎日だった。
大学の間は女の子や、たまには男にも声をかけられたりしたが、トモ以上の人に出会えるわけもなかった。
トモの写真は財布の狭いポケットに入れ、いつも持ち歩いた。
最初の頃は毎日写真を眺めていたが、バイトと学生生活の慌ただしさにそのうちわざわざ引き出して写真を眺めることは少なくなった。

だが、トモの事を忘れたわけじゃない。

もう、十分記憶しているのだ。
あの優しげで、でもどこか寂しそうな微笑みを。







僕は就職はせず、大学に残る事にした。
特に理由はなく、教授が「大学院に来ないか」と声をかけてくれたからだ。

しばらくして院から研究所に移り、そこで研究に打ち込んだ。
考古学は奥が深い。
レベルの高い人間たちに囲まれて研究することで、忘れていた高揚感に久々に包まれていた。


研究所で研究に努める毎日―――気づけば大学を卒業してから10年が経っていた。
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