禁断の花園

□番外編〜甘々Winter〜
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そんな会話をした次の日の放課後だった。



昼休みになった途端皆人にそっと目で合図された。
皆人が席をたった5分後に浩之も席を立ち、逢い引きの場と決めてある屋上へと続く踊り場へ向かった。
立ち入り禁止の場所なので、人気はない。


「ごめん、今日遅くなるからご飯買って食べて!!」


着いた途端いきなり目の前でパンッと手を合わせる皆人に、浩之が思わず目を瞬かせた。


「う、うん、分かったけど。
どうしたの、皆人残業?」

皆人は計画性もあるし、仕事も早いから滅多なことでもない限り残業になるまで仕事がのこることはない。
珍しいこともあるもんだ、と浩之が思わず問いかけた。


「うん、ちょっとね。
今日中にやらなきゃいけないことがあってさ」
「僕も手伝おうか?」

「ううん、大丈夫。ありがと浩之」


皆人が嬉しそうににっこりと微笑んで、浩之にもそれが伝染し、2人で笑いあう。


「じゃあ、今日は僕が、帰ってきた皆人を出迎えられるね」


いつもと逆だね、そう言って笑う浩之に、皆人は照れ臭そうに笑い返して、暖かな空気に包まれる。

「あれ、皆人髪にゴミが…」
「わっ」


いきなり手を伸ばしたからか、皆人が過剰に身をすくめて浩之を見上げた。
見つめあう二人の間を一瞬で甘い空気が満たしていく。
頬が紅潮し潤んだ瞳の皆人に見つめられ、浩之がその気になるには十分だった。


「皆人…」

甘く囁いて皆人の頬に、今度は意味をもって浩之が触れた。

「ひろゆき…」


浩之の顔が近づいてきて、皆人が目を閉じる。
睫毛を震わす皆人がどうしようもなく愛しく感じて、浩之がクスッと笑んで、2人の距離を詰める。

「皆人…かわいい」


ピンポンパンポーンンンン……
『新堂先生、新堂先生。
至急職員室にお越しください。繰り返します。…』



焦点の合わない位近距離で一瞬見つめあって、2人揃ってガクッと肩を落とした。
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