星の光

□1話
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ディノスが少女を養女に迎えてから5年。
少女の名はフェリシアンと名付けられ、この5年間で彼女に対しての境遇もがらりと変わった。
当初フェリシアンを危険視するものが多く居たが、彼女と接していくうちに、人柄の良さが回りに影響を与え、次第に彼女を受け入れていく者が増えてきた。
今では、城の人・国民から愛される姫となった。
それはカラドも例外ではない。
当時カラドはフェリシランに剣を向け、その後も顔を合わせるたびに鋭い眼差しを向けていたのだが、現在は彼女の護衛を自ら志願するなどの変わりようである。
もともと容姿が整っていたフェリシアンは歳を重ねるたび美しい女性へと成長し、同盟国から求婚を求められるほどだ。
見る人全てを魅了してしまうフェリシアンに、よからぬことを企む者も出てくる。
その身を安じたディノスとその妻レイが護衛を付ける事を決め、護衛を選ぶときに名乗りでたのがカラドだった。
そのことに、ディノスをはじめカラドを良く知る人達はたいそう驚いた。
イノスにいたっては「何かおかしなものでも食べたか?」という始末。
しかし、過去にカラドに剣を向けられたフェリシアンがカラドに懐くはずもなく、怖がられている。
カラドが20歳を迎えたと同時に騎士団の副団長に就任し、フェリシアンの護衛に就くことも少なくはないが、彼女のもっぱらの護衛は騎士団長補佐をも勤める、女性騎士・アルミネが請け負っている。
アルミネは姉御肌な性格をしているため、フェリシアンもすぐ信頼を寄せるようになった。
今ではいい友人関係である。

そして、この5年でフェリシアン自身も変わった。
まず、彼女が持つ魔法の発覚である。
アラカルト王国をはじめ、この世界には魔術が存在する。
魔術の根源は精霊の誕生にある。
精霊の加護を受け継ぎ、その魔力を体内に宿し、魔術をしようする人間も多くいる。
騎士団の団員の殆どは精霊から受け継いだ魔力を持っている。
世界に精霊は多く存在する。精霊の中にも位が存在し、中でも世界の調和を保つと言われている精霊が、サラマンダー・シルフ・ウンディーネ・ノームの四大精霊だ。
それぞれが持つ力を属性と人は呼んでいる。
ちなみにカラドは全ての属性を扱えるほどの魔力の持ち主だ。
フェリシアンの魔力の属性は不明。現段階でわかっているのは、彼女が持つ魔力は<癒し>であるということ。
ある日、怪我を負った鳥を治癒しているのを、そのとき城の警備に就いていたカラドが目撃した。
その後、フェリシアンに力のことを問うて見れば、「気がついたら出来ていました」と、困ったように答えた。
そして「この力は動物だけではなく、人や植物、生命力を宿すもの全てに対応してるんです」と続けた。


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