星の光

□2話
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中庭を出たフェリシアンは廊下が見えた先で駆けていた足を止めた。
部屋に戻るため、1人で歩く。
いつもは清掃する侍女や警護の兵が居たりするのだが、廊下にいるのはフェリシアン1人だった。
にぎやかな雰囲気から一気に静かになった空間にが、孤独感を煽られ不安が広がる。
こんなにも人の気配がないのは初めての事で、フェリシアンは自然と早足で廊下を歩いた。

「おや、姫様。お1人ですかな?」

角を曲がる廊下から、1人の男が歩いてきた。
黒いローブに聞き手には杖を持っている。

「あなたは、議会のライゼン様!?」

評議会の議長を務めるライゼンにフェリシアンは驚く。
それも当然だ。評議会の人間がフェリシアンの部屋のある奥まで来ることがないからだ。
議会メンバーが活動をメインとする場もかなり離れたところにある。
しかも、ライゼンはフェリシアンの部屋のほうからやってきた。
ライゼンはフェリシアンの驚きを気にしないかのように笑みを浮かべ足を止めた。

「まぁ、私にとって都合は良いんですがね」

微笑みを浮かべた顔から、にやりとした怪しい笑みに変わる。
その瞬間、フェリシアンは体中に悪寒が走るのを感じた。
もともと、フェリシアンはライゼンに対して警戒心があった。
そうしても信用に値する人物には見えず、一緒に居るのは危険だと本能が警音を鳴らしている。
しかし、周りには誰も居ない。
そろりと、距離をとるように後ずさる。

「姫様は、自身のことをご存知ではない。知らないが故に、その身に潜む力の意味も存じてない。全く滑稽ですな」

「何を・・・・?」

「人にはなれない哀れな娘よ。我が主の為、ここで消えていただく」

ライゼンの背後に赤い2つの小さな光が現れる。
そして、かすかに血の臭い。
その正体に気がついた時、赤い閃光がフェリシアンを襲った。
その衝撃に壁・柱ごと破壊され吹き飛ばした。



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