星の光

□3話
1ページ/2ページ



微風がなぞれば、噴水の水面が音を立てることなく揺れた。
空に浮かぶは、青い月。
静かな夜の日にはよくみられる姿に見上げた人々は見惚れてしまうことも度々ある。
昔、小さな子供がお会いつきの出る日に浚われる、というちょっとした都市伝説が出たことがあった。
それも、ささいな子供の好奇心をくすぐる為の御伽噺だったのだけれど。
どちらかといえば、お会い月が出る夜は、身体が軽くなることのほうが多いと思う。
重症患者が目を覚まして腕を動かせれるようになった、など。


青い月の夜は何かが起こる。




護衛の仕事から少し離れたアルミネはシルヴァの部屋を訪れていた。
書類やいくつもの本が並ぶ本棚。
執務用の机に、その隣の部屋には寝室。
簡素な話を交わして、二人はすぐ寝室へと入った。
柔らかなシーツが体を包み込む感触を撫でながら、互いに腕を絡めあった。
小さな窓から青い光が差し込んでいるのを見ながら、情事に溺れる。

「何かあるのか・・・・?」

ふと体を起こして、乱れたアルミネの髪を救い上げる。
常に鍛えられた肉体に、程よい筋肉のあるシルヴァに視線をむけ、アルミネはそっと微笑んだ。

「月が・・・今日は青いと思っただけ」

ああ、そういえば、とシルヴァも窓の空に視線をむける。

「今日は色々あったからな。お前も疲れただろう?ゆくり休むといいよ」

すぐに視線をアルミネに戻し、肩を抱き寄せて額にキスをする。

「姫にはカラドがついてるんだろう?なら問題ない」

強く抱きこんで、気だるい体をそのままに、二人は眠りにつく。
たまには、こんなひと時も必要、と考えながら。



2012.02.05執筆



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ