甦る者
□封印解除
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第1章 封印解除
CHAPTER 1
桜が満開になる季節。新しい友達、新しい生活。
全てが新鮮で、誰もが胸を踊らす。
都内の中心に位置する所に有名なマンモス校がある。
名前は聖陵学園。
小等部、中等部、高等部、大学、大学院があるエスカレーター式の私立学園だ。
高等部にはそれぞれ、進学科、体育科、工業科、芸術科の4つのコースがあり、校舎も4つの建物がならんでいる。
今日は始業式があるため、校内は活気に満ちて賑やかだ。
進学科2年のあるクラスでは一人の転入生を向かえていた。
進学科2年A組。
久し振りに学校を訪れた学生たちは静まることをしらない。
しかし、教師が教室に入ってくるとたちまちざわめきは音をなくす。さすが進学を目指す学生の集まり…と言えるだろう。
「朝礼を始める前に、転入生を紹介する」
担任の教師が告げると、女の子が入ってきた。
クラスの全員が転入生に向けて興味の視線をむけ、ざわついた。
「須藤彩乃です。宜しくお願いします」
彩乃は簡単な挨拶をすると、教室を見渡した。
(有名な進学校と聞いているけど…意外に普通というか……私服の人もいるし)
空いている席を探しながら彩乃は、此からの生活に不安を抱いた。
「ここの席空いてるよ〜〜」
彩乃の不安を打ち砕くかのように、明るい声があがった。
視線を向けると一番後ろの窓側を指差し、手招きする女の子が居た。
取り敢えず、彩乃は手招きされた席に向かう。その隣は笑顔を絶やさない、声の主。
「私は葉月。柏木葉月。よろしくね♪」
葉月はとても人なつっこく、明るい性格をしていた。話をするたび、どんな人なのか直ぐに分かった。
欲を持たず、何事にもはっきりしていて、人望も厚い。
ただ、突然関係ない話を急に持ち出すこともあり、クラスの皆からは遊ばれていた。
転入初日、正直ここの生活に慣れるか不安だったが、葉月のお陰で何とかやっていけそうな感じがした。
始業式が終ると、新学期恒例実力テストが始まった。
「須藤はいきなりだと思うが、プリント感覚でやってくれてかわまない」
教師はフォローして気を付かってくれたが、彩乃はテストについての抵抗はなかった。
以前通っていた学校ではトップを狙い続け、1位の座をキープしていた。
もちろん、この学校も例外ではなく、トップを狙うつもりでいる。
手元にある用紙には高1の問題がずらずらと並んでいる。
(これなら、出来る!)
手応えを掴みつつ、彩乃は問題を解いていった。
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