番外編
□夢狭間
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8畳の部屋に電子音が響く。
綺麗に整頓された机に置いてある置き時計。
朝6時を知らせていた。
まだ春になったばかりだからか、外の光はまだ弱い。
止まることを知らない時計に、部屋の主である少年の腕があたる。
一瞬で部屋は静かになった。
起きる時間にしては早い。最も今は春休みで普段の時間と比べたら遅い方だ。
学校が休みなのだから、太陽が昇りきるまでは殆んどの学生は夢の中だろう。
しかし、この少年は違った。
いくら休日といえども、起きる時間は一定だ。
机の上には、時計の他に、教材、参考書が開いて置いてある。
少年はそれらに手をつけることなく、小さなため息を吐いた。
彼の頭を占めるのは、夢に出てくる女の子。
ここ最近同じ夢を見ている。
夢は願望を現すと言うが、あいにく女の子を見る願望などない。
今はやりたい勉強で一杯で、恋愛は全くと言って興味がないのだ。
仲の良い友人にしてみれば贅沢らしいが…。
でも、夢の少女は一体誰なんだろう……
夢から覚めるとき、胸が苦しく悲しくなるのは何故なんだろう……
「僕は彼女を知ってるのか……?」
誰かに問うわけでもなく、その声は部屋に響き消えた。
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