星の光

□1話
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このとき、フェリシアンが浮かべた優しい笑顔に、カラドは心を奪われた。
そして、もともと人を惹き寄せていたフェリシアン。その<癒し>の魔力を狙うものを出てくるのではないかと、カラドは危惧した。
属性は<風><水>ではないかと言われるようになったが、フェリシアンが力を使うとき、精霊の<気>は感じない。
魔術を使用するには、必ずその魔力の元となる精霊の<気>が集まる。<気>が多く集まれば集まるほど大きな魔法が使えるが、自身の持つ耐久性・相性が合わないと魔術は失敗し、術者に対して障害を与える。
魔術を使用するにも理が存在するのだ。
不思議なことにフェリシアンにはそれがない。
不思議な魔力の使用法に、畏怖するもの・興味を抱くものは当然出てくる。
そのため、フェリシアンに護衛がつくようになったのである。
当然、この裏事情をフェリシアン本人は知るはずもなく、護衛の件をあっさり受け入れ日々を過ごしている。
素直すぎるフェリシアンに、もう少し警戒心を持つように告げるのはもはや日課だ。
さらに、フェリシアンの身を護るため、城外への外出も滅多に許されない。
外に出れないフェリシアンのために、カラドは視察へ出れば贈り物をし、怪しい人物は徹底して取り締まっている。
しかし、フェリシアンはカラドを苦手としているため、騎士団をはじめ、イノス・ディノス・レイはカラドの想いを秘かに応援していたりする。
表立って応援しようとなれば、カラドから鉄槌が落とされるー実際に落とされたイノスの証言ー



「姫様、今日も花が届いていますよ」

今日もこの日、朝起きたフェリシアンの元に、色とりどりの花束が届けられた。
数本の花の枝に赤いリボンで纏められている簡素な作りだが、フェリシアンが好きな花ばかり。

「きれい・・・」

そっと花束を受け取り、しばし見惚れると、すぐさま生け様とするフェリシアンに侍女サーラは慌てて制止を掛ける。

「姫様、花瓶は私が用意しますから、お待ちください」

くすくすと苦笑を浮かべ、サーラは棚に並べられている花瓶を手にすると、バスルームへ向かい水を入れた。
その間、フェリシアンは花をテーブルに並べ、枝の根元を切り、きれいに生けれる様に手を加える。
花に熱中してしまうあまり、サイドテーブルに並べられた朝食が冷めてしまうものいつものこと。
そして、サーラに呆れられてしまうのだ。



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