星の光

□3話
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昼間の襲撃が噓のように静まり返った深夜、フェリシアンは漸く目を覚ました。
暗くなった部屋が視界に写る。
ゆっくりと体を起こすと、気だるさを感じた。

(真夜中・・・・。私一体・・・・)

窓からみえる夜空にある青い月を見て、ゆっくりとベッドから離れる。
サーラが着替えさせたのか、寝巻き用の白いワンピース姿でいることに気が付いた。
ベッド脇にあるキャビネットに置かれているランプをつけると、明るい光が部屋を包んだ。
そのままクローゼットを空けて、薄手のカーディガンを羽織った。
朝とは違う花が窓辺に飾られているのを見て、フェリシアンは昼間の出来事を思い出した。

「ライゼン様が魔族を連れて、私を襲って・・・・。」

ライゼンが言っていた言葉が胸に刺さる。

“ 人にはなれない、哀れな娘 ”
“ 自身の力に気づいていない ”

この二つの言葉にどういう意味があるのか、フェリシアンには分からなった。
分からないだけに、不安が襲ってくる。
きつくカーディガンを握り締め、空気を入れ替えようと、窓を開けた。


「私は、一体何・・・・?」

フェリシアンには幼い頃の記憶がない。
過去といえば、ディノスの養子になった時からだ。
見上げた空は星が小さな光を放っている。
フェリシアンは肩肘を窓の柵に掛けると、身を乗り出し音を立てないように気を配りながら、外に下りた。
素足のまま数歩あるくと噴水のある裏庭が見えた。
噴水から湧き出る水が、青い月に照らされて、幻想的な姿を表している。
フェリシアンは噴水の傍まで歩き、水面を覗き込んだ。
そこには、浮かない表情をした自身と星が映っていた。



2012.04.03


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