嘘吐きがいた。
嘘吐きは嘘を吐く。
嘘吐きは6人から嘘吐きといわれていた。
嘘吐きは皆をひとりづつ殺していった。
それでも皆は嘘吐きを嘘吐きと言い続けた。
ひとり、またひとりと殺した。
最後の一人になっても嘘吐きは嘘吐きのままだった。
最後の一人も居なくなった。
嘘吐きは嘘吐きじゃなくなった。
誰も彼を嘘吐きという人は居なくなったからだ。
ごめん、ごめんよ嘘だからなかないで
ねぇ、本当にしてみせてよ
紫の唇から零れ落ちた真実を食らう
死んだよ
私が君を食べてまた君を産み落とすから、カニバリズム。
貪欲な真実と、淡白な偽りと
極彩色の嘘を吐いてよ
よくあいしてるなんてうそぶけるもんだ
反対
君、舌が二枚あるんだってね
嘘だらけの探偵
真実しか言わない泥棒
嘘吐いた僕はきっとルパンになる
全部、嘘かな。
さて、ここでお話は御終い。
此れが本当のお話かどうかは分からない。
「嘘吐きのお話」だからね。
そう言って、皺くちゃの顔の白髭のおじいさんは6つのお墓を眺めていた。
僕は帽子を目深に被り、嘘吐きの癖にと思った。
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