バラムガーデン・風紀委員室

□恐れるものは
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君は今何を恐れているのだろうか
死を恐れているのだろうか
今を恐れているのだろうか
明日を恐れているのだろうか
愛する人を恐れているのだろうか
今ここに生きる己を恐れているのだろうか
それとも
この世の終わりがいつか来る事を恐れているのだろうか。

「…綺麗な歌声だな、馬鹿雷神。」
「サイファー…、いつからいたんだ?」

バラムの町で綺麗な声で悲しい歌を歌う雷神はいつのまにかいたサイファーに話し掛けられ、少しばかりか驚いた。

「さっきだ、その歌、どこで聞いたんだ?俺にも教えろよ。」
「この歌か?俺が自分で作ったもんよ。」
「ヘェ。すげーじゃん。馬鹿でもそんなのが出来るんだな。」
「馬鹿じゃないもんよ!サイファー、いい加減「馬鹿」って言わないでほしいもんよ!!」

サイファーは雷神に話す言葉に必ず「馬鹿」をつける。
雷神は嫌がって反論するが、その反論がサイファーにとって日々の癒しになるのだ。

「その歌、お前が歌うよりも俺が歌ったほうが様になるんじゃねえか?
何しろ、見た目がおっさんみてぇなやつより、俺みてぇなお兄様が歌った方がその歌に失礼だろ?」
「それを言うならその歌を作った俺に失礼だもんよ!!サイファーはロック系が似合うもんよ。」
「んだとこの馬鹿雷神!!じゃあテメェは合唱系だ!!」

この馬鹿みたいな時間は、雷神の歌ったひとつひとつの恐れを迎える前の時間。
この二人が真面目に、そして馬鹿みたいに話すのはこれが最後になることすら分からないまま、バラムの町に大声は響いていった。
 

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