2009夢

□ヨーグルト味の飴
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「ハックション!」
「うわぁ、謙也くん汚い」
「うっさい…わ、くしゅっ」

季節は春直前。
てか、春でいいんだけど…

春と言えば、桜!杉!花粉症!

「はい、謙也。ティッシュ」
「おおきに、白石」
「てかお前、花粉症ならちゃんとティッシュ持って来いや」
「今日はたまたま忘れたんや!は…くしゅっ」

白石くんが喋るたびにくしゃみをする謙也くんにティッシュを差し出す。
しかし、男子というものはティッシュなんぞ持たないイメージなのに白石くんはなんでも持ってるんだね。

「謙也くん、花粉症にはヨーグルトだよ」
「は?」
「前、テレビでやってたの。ヨーグルトは花粉症にいいらしいって」
「それ、俺も見たで」
「そうなんか…」


鼻をズズズッと啜りながら、信じられるかって顔をする。

「あー、信じてないな」
「だってなー」
「試してみたら信じてくれるかな?」

そう言えば確か、ポケットにヨーグルト味の飴ちゃんが…

ごそごそとポケットをあさると飴が出てきた。

「はい、これ」
「なに?」
「ヨーグルト味の飴ちゃん」
「飴?」
「うん、あげる」

手の中の飴を謙也くんに差し出す。
そして、彼の手にコロンと転がす。



「きっと、よくなるよ」
「…………」
「やっぱり、飴じゃ説得力ないかな?」

手の飴をじぃーっと見つめる謙也くん。
ちょっとだけ、飴を差し出したのを後悔した。

「そうかもな」

ガサガサと飴の袋を開けて口に放り込んだ。

「おん!なんか効く気がしてきた」
「本当?」
「おおきに、これから試してみるわ」
「良かった」


にぃって笑った謙也くん。
釣られて笑ってしまった。


「んな、アホな」


小さな白石くんの呟きは聞こえないふりをした。




ヨーグルト味の飴




浅見様主催の企画3年2組!に提出した作品です




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