2009夢

□恋人繋ぎなんて、
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「ほら、行くぞ」
『は、ひゃい!』

声が裏返ってしまった。私がいま居るのは近所にある遊園地のお化け屋敷の前。

文化祭の実行委員になってしまい、さらにクラスでやることになった出し物はお化け屋敷になってしまった。


「明日、暇ならお化け屋敷行くぞ」
『は?』
「本格的にやるから、見に行くって言ってるんだ。暇じゃないならいい」
『暇です、暇暇!!』



と、いうわけで同じく実行委員の日吉くんとともに遊園地に来た。
そして始めに戻る。

「……」
『くくくくらいですねぇぇえ!?』
「お化け屋敷が明るかったら、面白くないだろ」

入ってみると、真っ暗で横に仕掛けがあるかもわからない。
やっぱりお化け嫌いなのに、行くなんて言わなきゃよかった。

「…………」
『…………』

日吉くんは壁にペタペタと触ったりしながら先へ進んでいる。

私はというと、周りを見ないようにただ前へ進む。

そんな時だ。

どんっ

と何かにぶつかった。
日吉くんにぶつかったのかと、謝ろうとそのぶつかった何かを見ると。

「ばぁぁぁあ!!」

髪の長い着物を着た女の人が私の腕をがっしり掴んで笑った。

『ひっ…』


頭の中はパニック状態。

『いっ、いやぁぁぁあああ!』

掴まれてる手をブンブンふるけれど、離してくれない。

「お、おいっ」
『やだやだやだ、離してっむぐ!?』
「少し落ち着けって」


怖さのあまり、絶叫する私の口を手で塞ぎ手を掴んでいるお化けの手を外してくれた。

「ほら、はずれたから静かにしろ」

少し呆れたような顔で、私に言い聞かせるように言う。

私が頷いた事を確認すると口から手を離してくれた。

「ったく、お化け屋敷駄目なら最初から言えよな。」
『ごめんなさい…』

怖かった事と怒られた事に泣きそうになり、下を向く。

「まぁ、いい。行くぞ。ほら」
『はい……え?』

顔をあげると目の前に差し出された手。

『何ですか、これ?』
「手、出せよ」
『こうですか?』


手を出せと言われて、手を出すと日吉くんの手が重なった。

『!?』
「この方が、怖くないだろ」
『あ、ひゃいっ』
「………」


また声が裏返ってしまった。
暗くてよく見えないけど、日吉くんが笑った気がした。







それより今、日吉くんと手繋いでるんだよね。

しかも、これって………


こ、こ、恋人繋ぎ…じゃ…ないか、な?






恋人繋ぎなんて
(恥ずかしすぎるよ…)







企画:恋する5秒前様に提出させていただきました。


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