擬人化部屋

□二人ぼっちの楽園を望む
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授業も終わり、皆が帰宅の準備に取り掛かっている。
僕も例に漏れず帰り支度をしながら、ふと、隣の席に座っている女の子を盗み見た。
机の中から教科書やノートを引っ張り出し、丁寧に鞄の中へしまっていく、
その何気ない動作がとても絵になって、綺麗に見える。
ああ、好きだなあって、改めて思った。


「うさみちゃん」

「何よ」

「一緒に帰ろうよ」


そう誘えば、小さく溜息をついて、「仕方ないわね、いいわよ」と呟く女の子。
桃色の髪をした、可愛い女の子。

僕の彼女の、うさみちゃん。





≪二人ぽっちの楽園を望む≫





彼女からの了承を貰い、内心ガッツポーズを決めながら、僕は悔しそうに顔を歪めるクラスメート達を見た。

うさみちゃんは学校中のアイドルだ。
だから、そんな彼女を手に入れた僕を妬んでいる人も多い。
現に、クラスのアイドルと言われている可愛いニャン美ちゃんだって、ほら、
その大きな目をつり上げて、口許を歪めながら僕を睨みつけている。
あーあ、可愛い顔が台無し。

彼女も、小学校の頃は僕の食指を動かした一人だけれど、
今となってはうさみちゃん以外に興味は無い。
だから言ってやる。
ざまあみろ、ってね、フフッ。

僕の思った事が解ったのか、ニャン美ちゃんは小さく舌打って、うさみちゃんに近寄ってきた。
邪魔だなあ。


「ねえうさみちゃん」

「あら、どうかしたのニャン美ちゃん」

「私も、一緒に帰ってもいいかな?」


突然話し掛けてきたニャン美ちゃんに軽く挨拶して、うさみちゃんはちらりと僕を見る。
つまりは、ニャン美ちゃんが一緒に帰れるかどうかは、僕の返答次第ということだ。

―――ああ今凄く満ちた気分だ。

独占欲が顔を出して、これ以上ないくらいの優越感に浸る。
残念だったねぇ、ニャン美ちゃん。


「今日、寄りたい所あるんだよね。また今度にしてくれないかな」

「…ごめんね、ニャン美ちゃん」


断ると、彼女は一瞬顔を歪めて、残念そうに苦笑した。
きっと心の中は、僕に対する罵詈雑言の嵐だろうね。
いい気味だ、と思う僕はきっと歪んでる。
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