こばなし

□じとじと。
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「外、雨降ってんの?」

色濃さを増した制服の肩を指さして問いかけられ

一瞬きょとん、とした。


白くくもった窓が、空を隠しているため眺めることができないが、
湿った重い音をたてているので降り続いていることは、シンタローにもわかっているはずで。

それをわざわざ人に確かめることを不思議に感じた。
それでも、相手から声をかけられることがめずらしいので、

「へぇ。」
と短く答えると。


「ふーん。床、濡らすんじゃねぇぞ。」
とだけ言われたが、

アラシヤマは、自分の顔の右半分を覆い隠している髪の黒から、ぽた と滴が落ちるさまを見ても、眼魔法を撃つそぶりは見せないので、なんとなく、シンタローはんは今日は機嫌がいいな、と思った。


きっと、シンタローはんは雨が好きなんやろうな。





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