こばなし

□じとじと<シンタローside>
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なんとなく、ほんとになんとなくそう思って、

「お前、雨に似てる。」

なんて言ってみたのに、そいつはものすごく幸せそうな顔して

「シンタローはん、わてのこと、嫌いじゃないでっしゃろ。」

なんてのたまいやがった。

「…ばっっっっかじゃねーの、眼魔砲くらう?」
くもった窓から視線をはずさずに右手をそいつにかざすと、左手を絡められた。

「雨は、好きどすよね?」




まぁ、雨『は』、嫌じゃないかもしれない。

音とか匂いとか。


あとは、
この、静かな、どことなくもったりとした時間の流れが、心地いい。

いつもせかせかして、はやくはやくと焦っているぶん、心地いい。

言葉を発すると、たちまちべしゃんと潰れてしまいそうな、そんな不安定な雰囲気が、安心感をもたらす。

そんなところばかり、知らずのうちに、アラシヤマと重ねていたことに気付いたら。

無性に、繋がれた手が熱いのとか、気になって。

アラシヤマを横目で盗み見ると、

アラシヤマが、じっと俺を見ていたことに気付いて。


「…お前は、大きらいだ」


「そうどすか」




心音がどくどくうるさいのとか、
頭がぼーっとするのとか、
顔が赤いのとか、

こいつの思い上がりにムカついたせいだ、

きっと、

ぜったい。

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