こばなし
□うずまき
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「あ、シンタローはん!コモロくんさいなら!」
アラシヤマが走り去って行く。
それを見届けるコモロの眉間には力が入っていて。
─最近わかったことは、
僕にできること。
「うふふふシンタローはんったら!」
粉を振り撒くこと、と
君に優しい幻をみせてあげること。
握られた手が、熱い。
抱き締められた体が、痛い。ここちいい。
トリップ中だけでも愛してくれるのなら、それでもいい。
君の渦巻いた目に映っているのは自分ではなく、あのおとこなのだけど。
「シンタローはん」
それでいい。
「なんだニャ〜アラシヤマ」
「愛しとります」
(あぁ、胸が酢でシメられたようだ。)