サイボーグ009
□真夏の夜の夢
1ページ/9ページ
「ねぇジョー、悪いけど、アイスを買ってきてくれないかしら」
「もうないの?」
「全部ジェットが食べちゃって」
002はどうしても日本の夏が嫌いだという。暑がりの彼は梅雨と夏をひどく嫌っていた。
今だって、ソファーの上で力無く寝転がっている。
「生姜焼きのほうがいいんじゃない?」
そんなレシピ、わからないわよ、と003が笑うのと同時に
「わてが作ってあげてもいいアルヨ」
006が割り込んできた。
ジョーたちの関係を知っているくせに――いや、知っているからこそかもしれない――よく割り込んでくるのだ。
006だけじゃない。皆だ。
001だって例外じゃない。
――面白くない
ムスッと頬を膨らますと003はクスクス笑う。
その笑顔につられて、諦めたようにジョーも笑いだす。
「じゃあ、行ってくる」
真夏の夜の夢