サイボーグ009

□ボン・ヴォヤージュ
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あなたの道が幸せなものでありますように。





ボン・ヴォヤージュ





「旅に出ようと思うんだ」
「旅?」


コックリ頷くジョーにフランソワーズが首を傾げた。


「何処へ行くの?」
「分からない」


ジョーが紅茶を飲み干してイワンをあやし始める。


「ジョー?真剣に言ってるの?」
「フランソワーズ、僕はいつだって真剣だよ」


彼の笑った目からはこれが真剣だなんて感じられない。


「そんな……。いつ出発するの?」
「……。……ギルモア博士が、」


笑ったジョーの目がこちらを向いた。
お互いの目が合うと彼の目は妙に真剣でどこか寂しいものになった。


「ギルモア博士が許してくれるのなら、明日にでも」
「明日?どうして?」


オーバーな程に高く、裏返った声が響く。
思った以上の上擦った声に自身が驚いた。

でもそれ以上にもっと、彼の言動に驚いた。驚いた、というよりも彼女は腹を立てていた。


どうして一言も相談してくれなかったのか。
どうして何もかも自分ひとりで決めてしまうのか。



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