サイボーグ009

□彼と彼らの長い一日
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 ジョーを除くゼロゼロナンバー達及びギルモア、コズミ両博士はある計画をしていた。ジョーが出掛けている間に綿密に打ち合わせをして、その日の為に気付かれないように準備をした。





彼と彼らの長い一日






「そういや明日、遅くなるから」


 夕飯の時間、思い出したように唐突にジョーが言った。全員の手が止まり、ほんの一瞬だけ妙な空気が流れた。


「また図書館なのかい?」


 何事も無かったかのようにピュンマが訊く。


「あぁ。面白い本があって、読んでしまいたいんだ」
「それなら借りて来ればいいじゃねェか」


 ジェットが馬鹿にしたようにジョーの顔を見た。彼もまた、ジョーの話に興味、関心もないといったように自然に振る舞う――いや、もしかするとシラフでこういう態度であるだけかもしれないが。


「分厚い本なんだよ。持って帰るには大きすぎる」
「そんなに分厚いの?」


 ジョーの真向かいに座っているフランソワーズは首を傾げた。


「そう。ファンタジー映画で出てくる、〜の書みたいな本なんだよ」
「何だぁ、それは」


 グレートはゲラゲラ笑った。どうやら最初のピュンマの言動以外はそれぞれシラフのようだ。


「遅くなるって何時なんだ?」


 笑っているグレートをよそに、ハインリヒは口をへの字に曲げている。ジョーは困る様子もなく、眼を上にして考えている。


「うーん、八時ぐらいかなぁ」
「それなら大丈夫アル!」


 ワクワクしたように張々湖が言った。今度はジョーが首を傾げる。


「え?明日、何かあるの?」


 その言葉にジョー以外の全員が黒いオーラを出して張々湖を睨み付けた。蛇に睨まれた蛙、とはこういうことだろうか。張々湖は笑顔のまま固まっている。


「明日は夜から雨が降る」


 ジェロモニはとても冷静だった。彼のナイスフォローで全員が――もちろん張々湖も――救われた。


「そうなんだ。ありがとう、傘を忘れずに持って行くよ」
「そうじゃのう。それがいい」


 ギルモアのその言葉で食事が再開された。
 きっとジョーは気付いていない。そして気付くな。誰もがそう思いながらフランソワーズの作った料理に箸――或いはフォーク――を進めた。


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