ONEPIECE
□永遠と一瞬 一瞬
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永遠と一瞬 一瞬
「いいよな、お前は空を飛べて」
よく晴れた、五月の夕方だった。空は東から見事なグラデーションを描いていた。
碧に交わらない真っ白な飛行機雲の跡をカクは目で静かに追っていた。
「何じゃ、五月病か?」
視線をパウリーに落とし、帽子のツバを押さえ、実に愉快に笑う。
パウリーはそれにつられてゆったりと笑った。
「違ェよ、ただ、空を飛ぶってどんなに気持ちいいのかなって」
「さぁわからんのぅ。今までそんな事を考えたことがなかったわぃ。」
奇妙なことを言うやつじゃ、なんて笑ってしばらくふたりで空を見つめていた。
太陽はゆっくりと、でも確実に沈んでいる。海にキラキラ反射して全てを優しく輝かせている。
「希望の色は空色
見上げるのさ飛べるまで」
ふと、ぽつりとパウリーが歌い出した。
「何の歌なんじゃ?」
カクが尋ねると、パウリーはオーバーなほどに眉毛を曲げる。
「知らねェの?今、すっげェ流行ってるバンドの歌なんだぜ」
そう言うとパウリーは目を閉じ、丁寧に最初から最後まで気持ち良さそうに歌った。
目を開け、カクにどうだ、とでも言うようにニカッと笑う。
「あァ、何度か聞いたことがあるわぃ。じゃがお前さんが歌うと別の歌にしか聴こえなかったんじゃよ」
カクはへらへら笑い、もうすっかり消えてしまった飛行機雲の跡を想像した。
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