ONEPIECE
□再教育
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暗い部屋がある。
闇より深い真っ暗な部屋。
コンクリートでできた壁は恐ろしい程にひんやりしていた。
監視カメラが常にこちらを向いていて
指示をする声だけが響く。
再教育
カクは壁に頭を引っ付けた。
目は朦朧としていて、痩せこけていた。
「カク、何故殺さなかった?」
マイクを通して声が聞こえる。
何度目かになる質問に、彼は答える気力など残っていなかった。
「お前は今年で七歳なんだぞ?」
何度も聞いた決まり文句に吐き気がする。
「お前の“兄”ロブ・ルッチならもうこの歳で……」
虚ろな目のまま黙って監視カメラを見上げる。
幼い彼にはすでに、感情などない。
喜も怒も哀も楽も。
全ての感情が欠落してしまった。
残っているのは、諦めて黙っているという防御本能。
「お前は選ばれた人間だ。唯一、殺しを許された崇高なる救世主なのだ」
嘘をつけ、と心の中で毒づいた。
――殺しが救世主?
わずかな理性が、より一層の諦めを強くした。
何を言っても、何をやっても、どうせ理解などされやしない。
こいつらに理解されるぐらいなら、死んだ方がマシだ。
「仕方ない。再教育だ」
昔はこの言葉に怯えていた。
尋常ではない“教育”
怯えを感じなくなったのはいつからなのだろうか。
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