その他
□そこにあるのは何も無いもの
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こんなことになったのはつい一時間程前。
ジュリアは知り合いの医師と話す為に、三つ隣の市の病院へと行っていた。
その病院へは知り合いの車で一緒に向かったのだが、急患が入ってしまい送ってもらうことが出来なくなった。
バスで帰るには随分と遠回りになってしまう。
「そう言えば……」
今日はデヴィッドがジョージに会う為にこの周辺に来ている日だった。
デヴィッドなら確実に車だし、帰る場所も同じ。
「もしもし、デヴィッド?」
早速彼女は電話を掛けてみる。
「ジュリアか?」
「えぇ、あなたは今何処にいるの?」
「帰る途中だが」
「引き返して」
「何故だ?」
「私も帰るの」
「知り合いの医師に送ってもらうんじゃなかったのか?」
「いいから、早く!」
「……そっちに着くのは一時間かかるぞ」
そう言うと彼は電話を切ってしまった。
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