その他

□願わくば、もう一度
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 陽は徐々に西に傾いてきて、窓からは真っ赤な光が溢れ出す。リクはずっと身を屈めていて、その赤に映った自分の影を見ていた。床に落ちた赤に、ぼんやりとした黒い影。無機質なそれが怖かった。からかうように同じように動く。
 窓からは子ども達の遊ぶ声や、リコーダーを練習する音が聞こえるのに、世界は理不尽な程に静まり返っている。

ガチャリ


「ただいまー」


 静寂を打ち破るように、母親の声が家に響き渡る。リクは顔を上げて、大急ぎで玄関へと走って行った。


「お帰りなさい、お母さん」
「寂しかった?お留守番、ありがとう」


 母親はリクの目線に合わせて笑いかける。そして頭をぐりぐりと撫で回した。


「平気だよ、それよりね、今日――」



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