パロディ

□本当は....
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どうやらアルフォンスに彼女が出来たらしい

らしいと言うのはまだ本人から直接聞いていないからだ

同居人の俺に何故秘密にしているのかは解らないが非常に面白くない

「今日帰ってきたら問いつめてやる!」

俺は俄然やる気になっていた



「ただいま」

アルフォンスが帰ってきたのは深夜0時を回っていた

最近アルフォンスは帰宅が非常に遅い

それが彼女が出来たらだとは夢にも思わなかった

「おかえりアルフォンスちょっと話があるんだけど....」

そう言うとアルフォンスはにっこりと微笑んだ

「僕もずっとエドワードさんに話したいことがあったのでちょうど良かったです
僕の話も聞いてもらえますか?」

断る理由もなかったので素直にこくりと頷いた



アルフォンスがコーヒーを入れてテーブルに運んできた

俺と自分の前にカップを置きゆっくりと席に着く

「どうしましょう?エドワードさんから話しますか?」

コーヒーをひとくち飲んで嗚呼と呟いた

「彼女が出来たって本当か?」

直球過ぎたかもと思ったが回りくどいのは苦手だ

するとアルフォンスは驚いたように目を見開いた

「誰から聞いたんですか?」

「ロケットメンバーから今日聞いた」

不機嫌丸出しで返事をしてやった

アルフォンスは合点がいったという風な表情になってそうだったんですかと呟いた

「先日彼女から告白されてお付き合いすることになりました
僕も今その話をしようと思っていたので丁度良かったです」

そして幸せそうな笑顔でそう続けられた

俺はにこにこしているこいつに凄く腹が立った

「なんで今まで秘密にしてたんだ?1番の友達だと思ってたのに聞かされるのが最後ってそりゃなくねぇか?」

そんなに怒らなくても良いのにと思っているのに何故か大きな声で叫んでいた

アルフォンスの表情が少し歪む

「僕はエドワードさんに1番に話そうと思いましたよ....でもあなたが僕の話を聞いてくれなかったんです
最近話しかけてもあなたは本に夢中で聞いてくれないじゃないですか」

半分泣きそうな顔で訴えてきた

「エドワードさんは最近僕のことに全く興味がないですよね?
そんなエドワードさんに1番の友達だと思ってたのにとか言われたくないです」

泣きそうだと思っていた表情はいつのまにか静かな怒りをたたえたものに変わっていた

そんなアルフォンスを見て言葉が出なくなる

「ずっと我慢してましたけどエドワードさんがそんなことを言うならこちらも言わせてもらいます
僕もエドワードさんは1番の友達だと思ってました....でも僕に何も話してくれなじゃないですか
自分のことも話してくれないし何か悩んでいる風でも相談もしてくれない....そして最近は僕の話も聞いてくれない
一緒に住んでいてもひとりぼっちみたいだって思ってました
そんな風に言うならもっとエドワードさんのこと見せてよ!僕のことももっと見てよ!」

そう言うと席を立って足早に去っていく

ばたんと扉を閉める大きな音が拒絶に思えた

大切なものを失ったようでもの凄く胸が痛んだ気がした

アルフォンスに言われて気づく

そういえば最近アルフォンスは話をしようとしていた

それを俺はずっと適当にあしらってきたのだ

アルフォンスなら許してくれると思っていたから....

いつもどんな時でも笑顔で許してくれるからそれに甘えきっていたのだ

アルフォンスが傷ついているなんて考えもしなかった

いや気づかないふりをしていた

すぐに謝りたいと思ったのだが素直になれない

アルフォンスの部屋の扉をノックしようとしたがどうしても出来ず諦めて部屋に戻ってしまった

次の日起きるとアルフォンスはもういなくてしかしテーブルの上にいつも用意されている朝食はきちんと置かれていた



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