パロディ

□約束の日
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『約束の日』




「兄さん明日ハイデリヒさんのお墓に行くの?」

僕の質問に返ってきた言葉はとても意外な言葉だった



明日は11月8日ハイデリヒさんの命日

彼が亡くなって明日で1年になる

それで僕達は久し振りにここへ戻ってきた

僕は明日兄さんが何時に出掛けるのかを知りたくて質問をしたのだが返ってきた言葉に耳を疑った

「いや....行かない」

「えっ....行かないの?」

兄さんはこくりと頷く

「明日は....行かないといけない場所があるからな」

「ハイデリヒさんのお墓よりも行かないといけない場所なの?」

兄さんはまたこくりと頷いた

「明日は....俺1人で行くからアルはここで待っててくれ」

「うん....それは良いけどどこへ行くの?」

「....」

兄さんは俯いてそのまま黙りこんでしまった



ハイデリヒさんが亡くなっても兄さんが泣くことは1度もなかった

もしかしたら僕の見ていないところで泣いていたかもしれない

でもお葬式が終わってからも僕の前で兄さんはいつも笑っていた

そしてハイデリヒさんのことを一言も話そうとしない

もちろん自分からは話さないし僕が聞いてもさらりとかわされてしまう

兄さんにとってハイデリヒさんはとても大切な人なのだと思う

何も言わないがそれは雰囲気で解っていた

けれど明日ハイデリヒさんのお墓には行かないという

一体どういうことなのだろうか

一体どこに行くというのだろうか

とても気になったが兄さんが話したがらないので僕はそれに触れることが出来なかった



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