パラレル

□あともう少し
1ページ/3ページ



帰る前にメールを打って乗る電車を合わせて中で落ち合う

それから家の最寄り駅まで電車に乗ってただ横に並んで俺の家まで歩いて帰る

俺を送り届けたらおやすみなさいとすぐに別れてアルフォンスが見えなくなるまで見送る

それが俺たちの恋人らしい行動

恋人同士になってから毎日こういう日々を送っている

朝はアルフォンスが部活で凄く早いので一緒に登校出来ない

それでも良いと言ったのだか悪いからとやんわり断られた

これっていわゆる『けんぜんなおつきあい』なんだと思う

だから俺はどうしたら良いのか解らない

どうエッチなことをしようと切り出せば良いのだ

アルは何もしなかったら他の女に取られるとか言うしそんなの絶対嫌だ

でも隣で純真無垢に笑っていられるとどうしたら良いのか解らない

ってかこういうのは男から言うもんじゃないのか

アルフォンスは俺の身体に興味ないのだろうか

恋人同士になった日俺からキスをした

それからアルフォンスもキスをくれてそれからずっと抱き締めてくれて色々話をした

でもあの日から俺たちは『ちょうけんぜんなおつきあい』手も繋いでない

これってもしかして俺に魅力がないってことなのか

まあ幼児体型だし胸なんて全然ないけどな

「うわっヘコむ」

「何がヘコむんですか?」

俺はアルフォンスとの帰り道にひとりでぐるぐるしていたらしい

声をかけられて現実に引き戻された

「えっ?あっううんなんでもないなんでもない」

適当に言い繕うとアルフォンスが苦笑する

「ごめんなさい僕の話つまらないですよね」

アルフォンスが悲しそうに笑う

「そっそんなことない!アルフォンスといるだけで幸せだぜ」

そう言うと嬉しそうに笑った

それが凄く可愛くて嗚呼好きだなと思ってしまう

今日はちょっと勇気を出してみようかな

「なっなあ手....繋がないか?」

アルフォンスはきょとんとした顔をし少しして真っ赤になった

「えっえっとおっお願いします」

手を出すとそれを取って指を絡めて握ってくれる

「おっやるな!いきなり恋人同士みたいな手の繋ぎ方だ」

「もっもうかっからかわないで下さい」

えへへと笑うとアルフォンスが前を向いたまま口を開く

「恋人同士なんですから良いじゃないですか」

顔は見えないけど耳が真っ赤になっている

「おうっそうだな」

俺もかなり奥手だけどアルフォンスは更にその上をいく奥手なのだと思った

でもそんなアルフォンスが心の底から愛しい

「可愛いなぁおまえ」

「可愛いのはエドワードさんですよ」

さっきまで耳を赤くしていたアルフォンスが振り返って優しく笑っている

それに見惚れて言われた意味が一瞬解らなかったが理解して顔が凄く熱くなる

「そっ!」

言いそうになった言葉を飲み込む

また恥ずかしくて怒ってしまいそうになった

駄目だ駄目だ!素直にならないと

「あっ....」

アルフォンスが小首を傾げて俺を見ている

それが更に恥ずかしくて俯いてしまった

凄く嬉しいのにやっぱり素直になれない

ヘコんでいるとアルフォンスが繋いだ手をきゅっと握ってくれる

「やっぱりエドワードさんはすっごく可愛いです」

驚いて顔を上げると優しい笑顔と目が合う

「解ってます....今は解ります」

アルフォンスはにこにこして俺のことを見てくれている

素直になれない俺のことをちゃんと解ってくれたのだ

嗚呼なんかヤバイ

俺こいつのこと好きすぎる

繋いでいる手をくいっと引っ張るとアルフォンスがよろめく

「エドワードさんあぶな....」

そのままでは到底届かないがよろけて顔が近づいたのでそれを引き寄せて唇を重ねた



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ