パラレル

□頼れる人護りたい人
1ページ/9ページ



「1分でも1秒でも一緒にいられる時間がほしいから結婚しよう」

それがエドワードさんからのプロポーズだった



出会いは高校生の時だった

入学した高校は科学研究部がとても有名でそれが目当てでこの学校に入学した

そして部活見学に行った時部の中心にエドワードさんはいた

僕は一目見て綺麗なエドワードさんに心を奪われた

しかし口を開いた時男の僕よりも男らしい口調であまりのギャプに驚かされた

けれどとても気さくなエドワードさんに更に惹かれたのは言うまでもない

そして部活を通して意気投合し仲のよい先輩と後輩として回りに認識される様になった

頭も運動神経も良くついでに性格も男前なエドワードさんは学校一の人気者

そして誰が声をかけても落ちない高値の花だと学校中の噂だった

そんなエドワードさんが僕なんかを相手にしてくれる訳がないと諦めて思いを告げることは出来なかった

そんな僕たちの関係に変化が現れたのはエドワードさんの卒業式の日だった



もう会うことはないかもしれないと思い最後のお別れを言おうと探していた

すると向こうも僕を探してくれていたらしく呼び止められた

「エドワードさん卒業おめでとうございます」

「おう!ありがとう」

僕の言葉に綺麗な満面の笑顔でお礼を言ってくれた

こんな風に笑うこの人をもう見ることが出来なくなるのかと思うと凄く胸が痛む

黙って見つめていると僕の前に手が差し出された

「なあアルフォンス第2ボタンくれよ」

「はい?」

「だから第2ボタンくれ!」

第2ボタン

それって学ランの第2ボタン

「こんなものどうするんです?何故こんな物が欲しいんですか?」

こんな物を欲しがる理由が全く解らなくて聞く

「卒業式に第2ボタン貰いに行く女子いるだろ?あれだよ」

確かに卒業する人のボタンを貰いに行く女の子を見たことがある

でもあれって僕が卒業する時にあげるものじゃないだろうか

「僕卒業しませんけど」

「解ってるけどおまえが卒業する時俺はここにいないだろ」

「はあ....でもあれって確か好きな人のボタンを貰うんですよね?
エドワードさんは何故僕の第2ボタンが欲しいんですか?」

「そんなのおまえのことが好きだからに決まってるだろ!」

その言葉に驚いているとエドワードさんが近くにある段差に登り引き寄せられてくちづけられた

その光景を見た回りの人達がざわつき始める

重なっただけの唇はすぐに離れた

「俺はおまえが好きなんだ!だから第2ボタン寄越せ!」

仁王立ちして僕に手を差し出してくる

しかし今の言葉と行為が信じられなくて腰を抜かしてそこに座り込んでしまった

「おっおい大丈夫か?」

心配そうにしゃがみこんで顔を覗きこんできた

僕はその顔を見つめる

「今の本当ですか?」

エドワードさんはきょとんとした顔をしてでもすぐに笑ってくれた

「おう大好きだ!だからおまえの第2ボタンくれ」

無邪気に笑うエドワードさんを引き寄せて抱き締めた

「僕も大好きです」

「知ってるおまえすっげぇ解りやすいからな
だから待ってたのに何も言ってこないから待ちくたびれて俺から言ったんだよ!だから第2ボタンくれよ」

「はい」

第2ボタンを外して渡すととても嬉しそうに笑ってくれた

そして頬に軽くくちづけされた

「じゃあ今日から俺たちは恋人同士な」

「はっはい!」

2年間の片思いはこの日両思いへと変化した



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ