パロディ

□未熟
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机の上に置かれていた手に手を伸ばし指を少し絡めてみる

俺の正面に座っていた同居人の手がびくりと震えた

少し絡めた指を手繰り寄せ柔らかく手を握る

すると躊躇いがちに握り返された

少しの間握りあった手を見ていたがふと視線を上げる

向こうも一緒のタイミング視線が絡まった

少し照れている表情にくすりと笑う

とても可愛く思って机に乗り上げそっと唇を寄せた

頬に少し触れるだけすぐに離れる

至近距離で見つめると絡めあっていない方の手で少し突き放される

「また僕をからかってるんですか?」

「だってすっげぇ可愛い反応するからさぁ」

同居人をからかうのはとても楽しい

毎日やっても一向に飽きない

可愛くて仕方がない

声を上げて笑っているとぐいと引き寄せられ片手で強く抱き締められた

こんな反応は初めてで少しびっくりする

でもなんだかとても心地よい

目を閉じてそっと胸に擦り寄ってみた

ふんわりと優しくてなんだかとても安心する

身体の力を抜いてすべてをゆだねるとまた突き放される

なんなんだと思って顔を見ると少し涙が滲んでいた

「僕のこと異性だって解ってますか?」

「解ってるけど?」

何故泣きそうになっているのか解らなくて頭を撫でてやろうと思った

伸ばした手を同居人に捉えられたので叶わなかったけれど

「じゃあ弟扱いですか?」

どうだろう弟に似ているけどしっくりこない

可愛くて仕方がないけど弟とは違う

返事を出来ないでいると顔が近づいてくる

唇にそっと触れる唇それはすぐに離れていった

「僕はあなたを姉だとは思っていませんよ」

「そうだろうな俺達姉弟じゃないし」

「そういうことじゃなくて!」

なんか凄く怒っているけど理解出来ない

ただ同居人が怒るなんて珍しいなという感情しか湧いてこない

「じゃあどういうことだ??」

「今ので解らないんですか?」

「何かに対して怒ってるのは解るけどその何かが解らない」

「じゃなくて僕キスしましたよね」

キス....嗚呼そう言えば....

「俺もよくする」

「エドワードさんは頬でしょう!?」

「頬と唇ではなんか違うっけ?」

「全然違いますよ!好きだからしたんです!!」

「俺も好きだからするけど?」

「好きの意味が違います!!!」

好きの意味

好きに違いなんてあるのだろうか

目を伏せて考え込む俺

興奮気味だった同居人が深く深呼吸をする

最初に繋いでいた手はそのままだった



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