パロディ

□戯れ
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遡ること3ヶ月前

僕の部屋に深夜にノックがあることははじめてだった

扉を開くとそこにいたのは同居人のエドワードさん

同居をはじめて半年

本当の性別を知って1か月

恋心を抱いたのはいつだったか

「こんな時間にどうしました?」

「ちょっと部屋に入れてほしいんだけど....」

こんな時間に部屋に来るなんて今まで無かったけれど特に何かを思うことはなかった

恐らく僕の部屋にある本でも探しに来たのだと思ったからだ

快く招き入れると彼女が扉を閉めた

それには珍しいなと思った

すぐに出てくだろうに律儀に扉を閉めることに

僕の前に佇む彼女

真剣な顔で見上げてくる

「なあアルフォンス俺の胸揉んでほしいんだけど」

「........はい?」

「だから俺の胸!胸を揉んでほしいんだけど」

彼女が突拍子もないことを言うのは日常茶飯事

だから大抵のことには驚かなくなっていた

聞き間違いかとも思ったけれど2回も間違えることはないだろう

「胸を揉む?」

「そう胸を揉む」

一応確認してみたがやはり間違ってなかったらしい

頭が真っ白になって何も反応出来ないでいると彼女が真剣な顔で訴えてくる

「好きな人がさ....大きい胸が好きなんだって....でも俺胸小さいから....さ」

好きな人

その言葉に止まっていた思考が動き出す

「異性に胸揉んでもらうと大きくなるんだってだからなっ頼む!」

好きな人

彼女の好きな人

こんな事を頼まれているということは僕ではない誰か

彼女の言う向こうの世界の人だろうか

胸の大きな人が好きということはないし間違いなく僕ではない

急速に気分が沈む

泣きたくなる

こんなにあっけなく失恋してしまうなんて思いもしなかった

好きになってもらえるとは思っていなかったけれど彼女は色恋沙汰とは無縁だと思っていたから

目を閉じて物思いに耽っていると手を取られ柔らかいものに導かれる

驚いて目を開けると僕の手をとって彼女の胸に押し当てていた

「ちゃんと礼もするから頼む」

とても真剣な顔でからかわれている訳ではないらしい

そんなにその人のことが好きなのか

なんとも思っていない男に胸を触らせるくらいどうってことないくらいに



彼女が小さいと言った胸は僕からしたらそんなことはけしてなかった

柔らかくて掌に馴染み少し力を込めると弾力があった

「揉む気になったか?」

嬉しそうな声

「本当に異性が揉むと大きくなるんですか?」

「わかんねぇけど何もしないよりは良いだろ....多分」

でも好きな人に失礼ではと言おうと思って止めた

イケナイなことだと解っていたけれど欲望に抗えなかった

この感触をもっと味わいたいと思ってしまった

「解りました」

彼女がにやりと笑う

「よし!じゃあ頼んだぞ」

シャツを脱ぎ捨て僕に身体を預けてくる

はじめて触れた日は終始くすぐったいと笑われて終わった

彼女の言うお礼とは恥ずかしくも反応してしまった自身を慰められることだった

初めてとは思えないくらい的確な刺激に投げかけた質問に返ってきた言葉を忘れることは出来ない

「なっなんでそんなに巧いんですか!?」

「ん?まあ....色々経験してるよ俺は」

優越感にひたる表情

年上風を吹かせる時の彼女の満足そうな顔

その時芽生えた嫉妬心を僕は日に日に募らせている
 
 
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