パロディ

□許容は....
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「ただいま」

「お帰りアルフォンス」

エドワードさんが笑顔で迎えてくれるが今日は素直に喜ぶことが出来なかった

「今日はかなり力入れて夕飯作ったんだ!すぐ食べるか?それとも先に風呂入るか?」

エドワードさんが近寄ってきて見上げてくる

いつもなら可愛くて抱き締めたいと思うのだが今日はそんな気分にもなれなかった

「ありがとうございますでもすみません今日は体調が悪くて....もう寝ますね」

僕はエドワードさんの目を見ることが出来なかった

目を見て笑える自信がなかった

「大丈夫か?そう言えば顔色が悪いな」

手が伸びてきて額に触れようとしていたがそれに気づかないふりをしてさらりとかわした

「おやすみなさい」

笑ったつもりだったが笑えていたかは解らない

ただ視界の端に捉えたエドワードさんは泣きそうな傷ついたような顔をしていた気がした



ベッドに潜り込んだが一向に眠気はやってこない

彼から聞いた言葉が何度も何度も頭を巡る

「エドワードが弟とアルフォンスが似ているから傍にいると安心するんだと言っていたぞ」

エドワードさんの愛しい弟さん

その弟さんに似ている僕

「それって僕自身を愛してくれてるんじゃなくて愛している弟さんに似ている僕を愛しているってこと」

エドワードさんは僕を通して弟さんを見ていたのだろうか

今までの言葉全て僕自身に向けられていた訳ではなく弟さんに向けられていたということなのだろうか

つまり弟さんをそういう風に愛していたということなのだろうか

僕は....身代わりということなのだろうか

「はは....そっか....身代わり....か」

自分の行き着いた答えに絶望した

エドワードさんは自分のいた世界と僕を天秤にかけて僕自身を選んでくれた訳ではない

僕を弟さんの身代わりにすることで自分のいた世界に帰ることを諦めたのだ

「はは....馬鹿みたい」

ずっと離さないでいてほしいと言われて幸せだと思った

家族になろうと言われて心の底から喜んだ

「僕は旦那さまじゃなくて弟だったんだ」

涙が止めどなく流れた



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