パラレル

□きょうだい
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いつも僕の傍にいて笑ってくれていた姉さん

誰よりも僕を心配してくれてどんな女性よりも綺麗で聡明な人

僕はこの人を姉として以上に愛していた

けれどこの人を困らせるだけだと解っているからこの気持ちは封印した

そして他の人には絶対に譲れないがアルフォンスになら良いと思った

アルフォンスなら絶対姉さんを大切にして幸せにしてくれる

だから僕は2人を見守ろうと思ったのだ



「結構長い時間2人っきりだったけどエッチなこととかしたの?」

アルフォンスが帰ってダイニングでお茶を飲んでいる時に聞いてみる

姉さんは飲んでいたお茶を盛大に吹き零した

「もう汚いなぁ」

「おっおまっおおまえが変なこと言うからだろ!」

真っ赤な顔で立ち上がり椅子が大きな音を立てて引っくり返る

「変なことなんて言ってないよ普通でしょ?じゃあ2人きりで1時間も何してたの?」

「アルフォンスが....」

言いながら更に顔が赤くなっていく

「アルフォンスが?」

「抱き締めたまま離してくれなかった」

だんだん声が小さくなって身体も縮こまっていく

「ずっと抱き締められてたの?」

「お....おう」

「それ以外は?」

「なっ何も....」

「何も!?ただずっと抱き締められてたの?」

「おっ....おう....」

小学生じゃあるまいし何してんだこの2人

呆れていると姉さんが椅子を起こしてそこに座る

「凄く温かくて嬉しかった」

凄く嬉しそうに微笑んでいる

1時間くらい抱き締めあっていただけなんて僕からすればそれだけ?と思うけれど姉さんは満足らしい

まあ超奥手な人なのでそれで充分なのだろう

アルフォンスも奥手そうなので手を出すという選択肢は最初からないのだろう

まあ姉さんが幸せなら良いけどね

「でも留学するまでにそれなりのことしといた方が良いんじゃない?」

「それなりのこと....ってなんだよ?」

「だからエッチなこと」

その言葉にまた顔を真っ赤にする

「えっでも....でもそんなのまだ早いだろ?」

「最近の子は皆そういうことしてるよ
それに4年も離れるんだから自分を刻みこんでおかないとその間に誰かにとられちゃうよ」

姉さんが目を見開いてそしてしゅんとした顔をする

「アルフォンスは待っててくれるって言った」

「でも長い間会えないと寂しくなるしアルフォンスモテるからくらっとしちゃうかもしれないよ」

「そんなことない」

姉さんが俯いて目を潤ませている

少しいじめすぎたかもしれない

謝って訂正しようと思うと姉さんががばりと顔をあげる

「おっ俺頑張る!」

「えっうっ....うん」

さっきまで泣きそうだったのに今は決意を秘めた目をしている

「協力してくれるか?」

子首を傾げてそう聞いてくる

僕の気持ちを知らないから仕方ないんだろうけど残酷な人

でも姉さんには笑っていてほしいから僕は何も言わない

「姉さん女の嗜みとか全くないもんね」

「なんだとぉ!」

姉さんが僕に噛みついてくるのでそれをさらりとかわす

姉さんが楽しそうに笑っている

僕はそれだけで満たされる

「好きだよ姉さん」

僕の言葉に姉さんはきょとんとした顔をする

けれどすぐに満面の笑みを見せてくれた

「おう俺も大好きだ」

僕たちは恋人同士にはなれないけどその笑顔ずっと護るよ

その笑顔を曇らせないようにいつでも味方でいるよ

だからこれからも僕を頼ってくれたら良いと思う

2人きりの姉弟なのだから



次ページはあとがきとなっております



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