D灰


□静かな世界
1ページ/3ページ











「静かですね」




「そうさね」



此処はとある雪山




アレンとラビは任務で此処に来ていた



結局、何もなかったのだが




詰まらないと思ったラビは、この雪山で遊ぼうぜー、と幼稚な提案をしたのだった





先程まで雪合戦や雪だるま作りなどをしていて、辺りにもその痕跡があった




今はというと




初めは遊びだった雪合戦が段々とエスカレートした結果




アレンが投げた割と大きい雪玉をぶつけられたラビがバランスを崩し、転んで雪の上に突っ込み


大丈夫ですかと声をかけて手を差し出したアレンをラビが引っ張り



結果二人して雪の上に寝転んでいた





「へへーお返し」



「もー、ラビー」



「…でもいいだろーこの景色も」




灰色の空から降ってくる雪が光を微かに反射して輝いていた




綺麗ですね、とアレンが笑うと
ラビも笑って



その声が止めばまた静かになって




雪に埋もれてるから余計に静かで







まるで世界に二人だけの様だった





「……アレン、俺お前のこと好きさ」




「僕も、ラビが大好きですよ」



「……このままこの二人だけの時間が止まればいいな」




「今僕もそう思いました」




「…ここは平和さね。世界では争いが絶えないって言うのに」



「…世界がどうなろうと、僕は貴方を守ることが出来たならそれで良いです」



「…俺も、まぁ職業柄だけど世界なんてどうなろうか知ったこっちゃねーさ」



「記録するものが無くなりますよ」



「それもそうさねぇ」





あはは、と二人の笑い声が雪に溶け込んでいく






 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ