D灰


□笑顔
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ずっとずっと泣いていれば





いつか涙は枯れるだろうか









アレンと過ごしたのはたった一年位だ





それでも、オレとアレンの思い出は今までのどんな一年よりも遥かに濃くて


オレは


この思い出を護っていくことが出来るなら




この思い出の中の日々がいつまでも続いてくれるなら







ブックマンになんてなれなくても良いと



そう、思うようになっていた





アレンはいつも優しくて



面白くて




好きだった


大好きだった





初めて会ったときのアレン



一緒にクロちゃん相手に戦った時のアレン



中国で生き別れてしまう寸前のアレンの顔




再会したときのアレンの笑顔




オレを炎の中から引っ張り出してくれたアレン







たくさんたくさんの思い出





忘れたくない『記憶』






その思い出を引き出していくうちに



ある一つの記憶が浮かんできた








それは多分アレンの部屋でのこと





オレはアレンのベッドで本を読んでいた





『ラビは、僕が死んでしまったらどうしますか?』



唐突な質問だった



オレは本に目を向けながらも



『そりゃー、泣くんじゃないかな』




そう、答えた




『ラビには、泣いてほしくないなぁ…』




『どうしてさ?』





『僕は貴方の笑顔に惚れたといっても過言ではないんですよ。貴方の笑顔には心が洗われるというか、見てるこっちまで幸せな気分に成るんですよ』




『へぇ、それは誇ってもいいことなんかね?』





『ええ勿論。僕は貴方の笑顔を守るためならなんでもしますよ!貴方の笑顔を奪ってしまうものなんて、滅ぼしてやりたいくらいです』




『うへ、こわいね』





『僕のせいで貴方が泣いてしまうなんて、そんなこと絶対に嫌ですよ。貴方にはずっと笑顔でいてほしいんです』





だから、とアレン




言葉が途切れたことが気になって、アレンの方を見ると





とても幸せそうな眩しい笑顔で






『貴方は、笑顔を亡くさないで下さい』










そう、言っていた










 
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