Happily Ever After

□Golden Japanese Diarys
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[10-3]
UP DATE:2024/01/05
write by kaeruco。
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

「それだな」

「確かに、それがよさそうだ」

 では人数から予算、店の傾向を検討しだそうとする双子を遮り、カニ(仮)は言葉を続ける。

「んでよ、オレからも相談なんだが」

 いつも彼には何かと世話をかけている事もあり、双子はすぐに切り替えてカニ(仮)へ向き合った。

「珍しいな。私たちで力になれるなら」

「おう。聞かせてくれ」

「毎度の事だが、今回もにぃちゃんの世話になったんだわ」

 カニ(仮)だけでなく、居候達は何かと言うと一輝を頼りがちだ。

「ああ、私たちもいつも一輝には面倒を掛けてしまうな」

「まあ、こっちの事情を完全に把握してて、前提を話す必要がないってのもあるからな……」

 しかし、この邸にいる人間のうちで最も忙しくしている存在でもある。
学業だけでなく財団の仕事があるのに兄弟たちや居候らに弁当や食事を作り、聖闘士としての肉体を維持する為の訓練も欠かしていない。
その合間に兄弟らと交流したり、居候の相談に乗ったりもしてくれている。
それから時々、女神の要請で何処かしらへ行っている事もある様子だ。

「あのにぃちゃんが忙しいのはオレにだって分かるからよ、ちったぁ、楽をさせてやりてえんだが、オレにできんのは飯の支度の手伝いくらいでよー」

 食事の支度は全部引き受ける事も出来るが、何より兄弟たちが一輝の手料理を楽しみにしているのでそれもできない。
勉強だって教えられるのは幾つかの外国語だけだ。

「もうちっと、なんかできねえか、と考えてはいるんだがなんも思いつかねえ」

「……一輝の負担を軽減出来ないか、私たちも常々考えているんだが、彼しかできない事が多すぎてな……」

 カニ(仮)とサガが頭を抱える姿を横目に、グラスにワインを注ぎ直したカノンが提案する。

「だったら、兄弟らに手伝わせたらどうだ? 弁当作りとか、休日の食事」

「だが、料理は得手不得手があるだろう」

「材料の買い出しとか、食後の皿洗いはやれるだろうし、料理できなくても野菜を洗ったりはやらせりゃなんとかなるだろ」

 そうすりゃ、少しは弟どもも一輝の苦労が分かるかもしれんぞ。

「末っ子共も大好きな兄ちゃんとならお手伝いもやるだろうしな」

 弟目線での提案に、カニ(仮)は素直に感心する。

「なるほどなあ」

 さすが、神をも誑かした男。
そう揶揄すれば、その言い方はやめろ、と制止される。
カノンとしては、正直あまり嬉しく無い二つ名なのだ。

「まあ、助かった。にぃちゃんにも相談してみるわ」



 尚、己の誕生日が半年以上先な居候2人もどのように兄弟らを労う祝い方が出来るかを相談中である。



 
【続く】 
‡蛙姑。@iscreamman‡ 
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WRITE:2023/12/14〜2024/01/05
UP DATE:2024/01/05
 
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