拍手倉庫

□ボクの先生はヒーロー
20ページ/42ページ



僕の先生はヒーロー
 
17 過去とは違う今



 主戦力たる上忍、中忍の部隊の多くが動揺し、動きを止めていた。

 無理もない。

 彼らの殆どは実際に九尾の災厄を経験した世代だ。

 家族や仲間をあの夜に失った絶望と恐怖がまざまざと蘇り、戦意を失っていく。

 そんな同朋の間を駆け抜け様、カカシは叫んだ。

「よく見ろっ! あれは九尾じゃないっ!」

 たしかに、落ち着いてよく見れば、鼻先に角のようなものがある。

 全体的な色合いも若干、白く思えた。

 だが、その程度の違いがなんの慰めになるのだろう。

 姿形が変わっても、あれは九尾の再来なのだ。

 それだけで、木ノ葉隠れの人々の心を挫くのは充分だ。

 あの災厄が、繰り返される。

 誰も敵うものはない。
 絶望に囚われて動けなくなる中、1人カカシは声を上げた。

「また後悔したいのかっ!」

 まるで自分を叱咤するかのような言葉を、周囲へ聞かせる。

「もう、あの時のオレたちじゃないはずだっ!」
 
 誰もが、思ってきたはずだ。

 今の自分がいれば、誰かがこうしていたらと。

 カカシは印を組み、右手にチャクラを集束してゆく。

「あの時に、出来なかった事をしろっ!」

 
【続く】
‡蛙娘。@iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

WRITE:2006/02/05
UP DATE:2006/07/13(PC)
   2008/12/07(mobile)
 
 
ボクの先生はヒーロー

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ