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□ボクの先生はヒーロー
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僕の先生はヒーロー
 
21 光の影



 里の数ヶ所に集結した木ノ葉の忍びたちは自然とその場で4人小隊となり、九尾と似た物へ立ち向かっていく。

 だが、いくら連携よく戦ったとしても、相手はあまりに強大で歯が立たないのが現実だった。

 怪物としか言いようのない敵へダメージを与えられるほどの大技は少なく、またその術や技を使える者はもっと少ない。

 そして、何度も乱発できるような術でもなかった。

 大きすぎる術や技の余波が、里全体に影響を与えることもある。

 例え一撃で倒せたとしても、あの巨体が傾ぎ倒れた周辺が壊滅することは誰にでも想像がつく。

 できるだけ里の外へおびき出してから、一斉に攻撃したいというためらいが獣の足を緩めはするものの、進路を変える事もできずにいる。

 じわりじわりと前線は後退し、敵は着実に里を侵食していた。

 気づけば、火影の執務室やアカデミーは目前に迫っている。

 これ以上退けば、顔岩に避難している里の人々まで巻き込んでしまうだろう。
 
「退くなっ」

「これ以上、下がるところはないっ」

「押し返すぞっ」

 各班のリーダーが口々に叱咤するが、彼らにも明確な策はない。

 幾人もの忍びがちらちらと火影執務室へ期待する視線を投げる中、カカシやアスマは最前線で声を上げ続けていた。

「まだ3代目に頼る状況じゃねえっ」

「はいそこっ、守り薄いよっ」

 2人とも分かっているからこそ、必死になる。

 こんな怪物相手に弱気になるなというのが無理なのも。

 だからこそ、3代目に過去4代目と同じ事をさせるワケにもいかなかった。

 その時、新たな忍びが前線に加わる。

「皆さん、一度退いてください! 退避路から援護しますっ」

「アカデミー職員かっ」

 普段から里の防衛に常駐し、備えをしてきた彼らは的確に動いた。

 あちこちに配備していた仕掛を使い、ついに獣の足を止める。

 それが、相手の本気を煽る結果となった。

 尾の一振りで足止めの罠は崩壊し、怒りに振り下ろされた腕が一角の忍びをなぎ払う。

 爆煙の中、カカシは信じたくないものをみた。

 戦いながら、ずっと気にかけていた人。
 
 ついさっきまで、同僚とともに罠を作動させ、傷ついた者を後方へ搬送していた人。

 その姿が、崩れ行く瓦礫の下にあった。

「イルカ先生ーっ!」

 
【続く】
‡蛙娘。@iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

WRITE:2006/06/10
UP DATE:2006/07/13(PC)
   2008/12/07(mobile)
 
 
22 星を航く船


 
ボクの先生はヒーロー

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