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□ボクの先生はヒーロー
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僕の先生はヒーロー
 
25 星の隔たり



 光の巨人が、2代目の九尾とも言うべき怪物に立ち向かっていく。
 怪物の爪が大地を引き裂き、巨人の一撃が大気を轟かせた。

 里が、揺れる。

 彼らの巨躯は移動の余波だけで、大規模な地震と同じ被害を里に及ぼした。
 そこに忍の──いや、人の割ってはいる余地はない。

 恐れおののく忍たちの前で、巨人は突進の勢いを借りて怪物を里の外へと押し出した。

 その瞬間。

《土遁・土流城壁》

 里の外周に沿って土が隆起し、防壁となった。
 更に、樹木が瞬く間に生い茂り、土の壁を支える。

 失われたはずの術で築かれた防壁の上に、覚えのある暗部を認めたカカシはとっさに跳んだ。

「テンゾウッ!」

「お久しぶりです、カカシ先輩」

 この事態に動じた様子もなく、まるで巨人と意志の疎通があるかの如く阿吽の呼吸で里を護る壁を生み出した後輩の働き。
 カカシでなくとも、疑念を抱くだろう。

「……お前、何を知ってんの?」
 
「イヤだなぁ、先輩」

 詰め寄られた者は右目だけの威圧を柔らかく受け流し、面越しに苦笑いを漏らす。

「ボクは3代目の勅命で動いているだけですよ」

 カカシを前に、預かり知らぬと惚けつつ、言外に告げた。

「あの九尾もどきが里の外に出たら、壁を作れって」

 3代目はこうなることを知っていた、と。

 
【続く】
‡蛙娘。@iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

WRITE:2009/06/15
UP DATE:2009/06/15(mobile)
 
 
ボクの先生はヒーロー

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