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□ボクの先生はヒーロー
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僕の先生はヒーロー
 
5 見えざる侵入者



 ナルトが集合時間に遅れてくることは、最近多い。

 元々やる気だけは無駄にあるから、だいたいはぎりぎり間に合わなかった程度の遅刻だ。

 普段のカカシの遅れに比べれば、咎められるようなものではない。

 しかし、今の時刻を考えると、何かあったと思うべきだろう。

 カカシは印を切り、口寄せの術でパックンを呼び出した。

「パックン。悪いんだけど、ナルト探してくんない?」

「分かった。お主のところへ連れてゆけばよいのだな」

 小柄な忍犬が弾むように駆けさっていくと、カカシは部下2人へ向き直る。

「さてと、まずサクラの家を見ておこうか」

 頷きあう2人に案内させながら、カカシは今、分かっていることを簡潔に伝える。

「里中で人が消えたり、部屋が荒らされたりしてんのよ。受付所までやられててね、結構な騒動になってんの」

「抜け忍や他里の仕業なのか?」
 
「その可能性はなくはないけど、ちぃっと大規模過ぎる。それに今のところ目撃者がいないってのはおかしい」

 行方不明者も荒らされた箇所も1つや2つではないのだ。

 これを1晩で成すに侵入者──があったのならば、中隊規模の人員がいただろう。

 それだけの者が誰にも気付かれずに行動するのはいくら忍びとはいえ不可能だ。

 そして導き出される可能性に、サクラの顔色が変わる。

「まさか、自主的に?」

 落ち着いた口調だが、内心の動揺は隠し切れていない。

 もしそれが正しいとすれば、彼女の両親は自ら姿を消したことになってしまう。

 サクラの気付かぬうちに、まるで見捨てるように。

「その考えもなくはないけどね。上忍の両親が気付かないうちに、アカデミー生でもない子供がいなくなったなんてとこもあんのよ」

 不安げなサクラの肩を軽く叩いてカカシはその考えを否定してやる。

 まったくないワケではないが、拉致されるよりも可能性が低いことは確かだ。

 だが、逆に自ら姿を隠したのではないとすると、生存している可能性が低くなる。

 結局、聡い彼女の不安を完全に取り除いてやることはできない。
 
 サクラの自宅へ着くと、サスケらを通りへ待機させてカカシは1人で室内を調べてみた。

 しかし、なんの手がかりも得られず、里屈指の上忍にすら分からぬ不可思議な消失事件であると身を持って証明したすぎない。

 とにかくナルトと合流し、この情報を3代目へ報告しておかねばならない。

 もう調べることはないと玄関へ足を踏み入れたカカシの前に、パックンが現れた。

 サクラやサスケに気付かれぬ場所で、ナルトを連れずに戻った己の忍犬の行動でカカシはその意図を悟る。

「ご苦労、パックン」

「カカシ……」

「ナルトはオレが見つけ出すよ」

 
【続く】
‡蛙娘。@iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

WRITE:2005/11/10
UP DATE:2005/11/14(PC)
   2008/12/05(mobile)
 
 
ボクの先生はヒーロー

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