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□Date Of Birth
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Date Of Birth



プレゼントは…… 
 二人っきりのお休み編

Rhythm



 ゆっくりと意識が浮上していく。

 覚醒するより先に、周囲の状況を無意識のまま認識するのは習い性だ。

 もう射るような強さはなくても暑い日差し。

 どこか冴えた冷気を含んだ部屋の空気。

 汗を含んで重さを増した、それでも心地よい暖かさの布団。

 そんな、いつもの朝に溶け込む、僅かな気配。

 強く縋り付いてくる腕に、安堵する。

 自分を目覚めさせずに寝台に入り込めるのは、数日、留守にしていたこの男だけだ。

 薄っすらと開いた目に、今日の日付に印のついたカレンダーが映る。

 無事に帰ってきてくれて、今日に間に合って良かった。

 視線を動かせば、肩先に白っぽい毛玉が押し付けられている。
 
 朝日に透けるその髪がまだ乾ききっていない。
 きっと明け方に戻って、汚れを落としたまま寝入ってしまったのだろう。

 今は無防備に眠るカカシを自分から抱きしめ、イルカはくすりと笑った。

 この任務に出る前、この日だけは予定を入れないで欲しいと、強く念を押されたのだ。
 彼のどこか必死な顔が頭から離れず、無駄になるかもしれないと考えながら、思い切って休みをとっておいて良かった。

 折角の誕生日に、疲れて帰ってきたこの男とこうしていられる。

 例え、目が覚めるまででも。


 
【了】 

WRITE:2005/09/10
UP DATE:2005/09/24(PC)
   2009/09/04(mobile)
 
 
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