カカイル2
□ミイラ取り
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強引な上忍に腕を掴まれ、イルカは自宅へと連行されていく。
「ん?」
すぐ目の前の角を曲がればもうそこというところで、2人の足が止まった。
正確には、カカシが止まったことで引きづられていたイルカもそれ以上進まなくなっただけだが。
きっとイルカ1人でもここで立ち止まっただろう。
2人は角の向こうに何者かが潜んでいる気配を感じていたのだから。
「どーういうことでしょうね……」
眠たげな目を細め、カカシは角の向こうとイルカとを交互にみやる。
イルカが待ち伏せに気づいたことも意外だったが、それ以上にこの男へ殺気を向ける存在が里にいることが信じられなかった。
それもこんな忍と一般人の入り混じった住宅地で殺気を含んだ気配も隠し切れないような輩が。
どうしたものかと、考えを巡らせている中、先に動いたのはイルカだった。
「離してください」
言った時には、どうやったものか、もうカカシの手から逃れている。
何事かと見返すと、見たこともない穏やかな顔つきで遠い闇を見ていた。
「カカシさんは帰られたほうがよろしいですよ」
手にしていた書類袋を肩にかけたカバンに押し込みながら告げた声は、先程までと質が違っていた。
【続く】
‡蛙娘。@ iscreamman‡
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WRITE:2006/05/26
UP DATE:2006/06/08(PC)
2009/11/11(mobile)