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□クリスマスまで待って
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クリスマスまで待って
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【1‐3】 気楽な大学生として、冬の朝寝坊を決め込んでいた猿飛明日磨は3度のモーニングコールですっかり目を覚ましてしまった。
不作法な早朝の電話など無視して、2度寝をしてしまいたい。
だが、なんとはなしに気になるのだ。
何時だ、とうっかり枕元に放り出したままの携帯電話を手にしてしまう。
ディスプレイには電話着信2件とメール受信が1件。
履歴を見れば、公衆電話からと留守番電話センターから。
時刻は、8時半になろうかというところ。
しかし、この時間帯に電話をしてきて、メッセージまで残す知り合いに心当たりが無かった。
まずはメールから確認、とフォルダを開く。
発信者名は、内扇帯人。
いい奴なのだが、何かと共通の知り合いが起こす厄介事を丸投げしてくる後輩だ。
今回もその関連らしく、件名が『EMERGENCY』───緊急事態と穏やかじゃない。
嫌な予感に苛まれながらも、明日磨は困窮する後輩を放置なんて出来る性分ではない。
第一、アレが引き起こす事柄に介入せずにいたら、後から多大な迷惑を被るのは経験上明らかだ。
嫌々ながら、平穏な年末年始のためと自身へ言い聞かせ、本文に目を通す。
『カカシが
イルカちゃんに
目つけましたっ
( ̄□ ̄;)!!』
「なんだとっ!?」
途端、一気に覚醒し、飛び起きる。
紛うことなく、緊急事態だ。
手近な服を適当に着込みながら、留守番電話センターへアクセスする。
電話があったのは、帯人のメールより数分早かった。
公衆電話独特の雑音混じりに、耳慣れた少年の焦りを含んだ声がスピーカー越しに流れる。
『おはよう、アス兄。朝早くに、ごめん。なんか変な人に会って……学校で、なんだけど。見たことないけど、高等部で、なんか白髪で、ボクのこと知ってるみたいで……』
そこまで一気に告げたイルカは、少しの沈黙の後に続ける。
『あ〜、何かされたってわけじゃないんだ。多分、平気。朝早くに、変なことでごめん』
伝言は以上です。
と言いかけるアナウンスを待たずに明日磨は電話を切った。
イルカからのメッセージを消去する必要はない。
むしろ、保存する必要があった。
協力を頼む際に聞かせるにも、アイツを追い込むにも使える。
軽く姿見で格好を確認すると携帯と財布をポケットにねじ込み、目覚めの一服に火を着けた。
「全く、面倒臭ぇことばっかだ……」
ここ数日の予定を書き込んだカレンダーを睨み、溜め息8割の紫煙を吐き出す。
頭の中で、最も効果的な対処法を模索しつつ。
【続く】
‡蛙娘。@iscreamman‡
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WRITE:2009/12/09
UP DATE:2009/12/09(mobile)