You'll never walk alone

□Sunshiny
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Sunshiny
〜 日のあたる場所 〜
 



 中天をだいぶ過ぎたものの、まだ日差しは強い。

 暦の上では秋も半ばというところだが、夏の暑さはまだ続いているようだ。

 午前中の修行が終わって解散を告げられたのは、正午を少し回った時間だっただろうか。

 それからずっと、ヒナタは木陰で膝を抱えて座り込んでいた。


 ヒナタら第8班の担当上忍、夕日紅は女性で新人ながら過酷な訓練を課すことで同僚上忍師らに知られている。

 けれど、ヒナタが自宅へ戻るだけの体力まで使い果たしてしまうようなことはなかった。

 いくら厳しいとは言っても、下忍を壊してしまうような訓練をさせることはない。

 それどころか、訓練後の自主鍛錬でオーバーワークになりがちなヒナタを、いつも適度なところで止めてくれるのは紅だった。

 彼女はきちんと自分の担当する者を見ている。

 ただ今日のように、午後から紅が任務で里を空けるような時だけはそれが出来ない。
 
 故に、ヒナタに自主鍛錬を禁じて出かけていった。

 わざわざ、任務先で体力を回復させる訓練だと思いなさい、と告げて。

 だから自宅へ戻らず、この暑いさなか、訓練所の片隅でヒナタは膝を抱えていた。

───……本当は、家に居たくないだけだって、分かってる……

 自分も、紅も。


 


 近付く気配に動転し、ヒナタは急に立ち上がろうとした。

 途端に、膝が崩れる。

 今まで、木陰とは言え炎天下で水分も取らずにいたせいで、熱中症を起こしたらしい。

「どう、しよう……」

 こんな時は水分を充分に取って、大人しく横になっているのがいい。

 そう知ってはいても、思わず上体を起こして手近な木の幹にもたれかかった。

 そして腰のポーチから水を出そうとする。

 だが朦朧として、うまく体が動かなかった。

 掴み損ねた水筒は転がり出て、白く焼ける光の向こうに消える。

 周囲がゆっくりと陰り、世界が、闇に……。

「おーい、寝てんのかー?」

 手放しかけたヒナタの意識を呼び戻したのは、その声と影だった。

「……ナルト、くん?」
 
「えーっと、悪ぃーっ!!!」

「……え? ええっ!?」

 目の前で、勢い良く両手を合わせ拝まれた。

 その勢いだけで驚かされ、さらにナルトの行動のワケが分からず、ヒナタは混乱する。

「あの……」

「オレってば、すっげー水飲みたかったんだってばよーっ! そんで目の前に水筒落ちてるし、こりゃ日頃の行いのお陰だと思ってよーっ! ホンットーにゴメンってばっ! あのあの、でも、飲んじまったっても、ホンのちょっとだしーっ! ヒ、ヒナタの水筒だって…思わなかったから……」

「……あ」

 息をつく暇もなく、謝罪というより言い訳をまくし立てられたが、なんとか状況は把握できた。

 ナルトの手にある水筒は、さっきヒナタが転がしたものだ。

 それを見つけて、喉が渇いていたナルトはこれ幸いと飲んだらしい。

 もし彼の担当上忍やスリーマンセルの仲間がいれば、小言の総攻撃を確実に食らう状況である。

「……気に、しないで……あんなところに、放ってた、私も……悪いんだし……」

───拾ってくれて、ありがとうって言って、水筒受け取らなくちゃ……

「あーっ! コレっ、やるってば」
 
 
write by kaeruco。
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