宝物

□ちゃきっ様
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青春の光と…影2
ちゃきっ様【天手古舞】



「「「「有難う御座いました。」」」」

「イヤ…」

 俺は任務をこなしただけだ

 額を地に擦り付けるようにして礼を言う人々にサスケは言葉少なに応じた。

 今回のうちは上忍(18歳独身)の任務は、地場の権力者達の抗争に巻き込まれ…行き成り戦場と化してしまった小村に閉じ込められたフォーマンセルの回収だった。

 元々、量が多いだけの『御遣い』任務だった為成り立ての若造中忍を隊長に新米と古参の下忍が混ざった戦闘向きで無い面子ばかりだったのである。
それでも、唐突に焦土と化した場から村人達を非難させていたのは立派だった。
但し不運な事に、その途中で実質の指揮者兼参謀となっていた経験豊富な古株の下忍が捕まってしまったのである。

 『争い』には関係ないとは言え、うろうろしていた忍を見逃してくれる程相手も甘くは無く。だからと見殺しには無論出来ず。
因って『下忍回収』に丁度手隙だったサスケが送り込まれたのであった。
 
 地域の権力者とは言っても結局は地方の地回り同士の激突で、偶々その中間地点にあった村が舞台になってしまっただけであり。
…つまり、質は極めて良くなかった。早期回収せねばどさくざ紛れに命を奪いかねない輩、なのである。

 そして思った通り。一応為された『正規交渉』は知らぬ存ぜぬで押し通され。サスケが(人知れず)牢を訪れると無関係な筈の『木の葉の忍』は散々に痛めつけられていた。
此れが目一杯サスケの逆鱗に触れて。クールな様で実際は結構直情気質のサスケは…一応死人が出ない程度に…『手を出して』来たのであった。

 火が出ようが(奴等の泊まっている辺りだけで被害がピタリととまった)水が出ようが(別に雨でも無いのに)その上、雷まで落ちて来ようが(見事に奴等の抗争現場のど真ん中を直撃した)証拠が無い以上、文句も言えない。勿論、慌てふためいて駆け付けた牢は無人になって居り…元々『居ない』と言い切った輩にはどうする事も出来なかったのだ。
 
 そして。
『忍』を敵に回す恐ろしさを身に沁みこまされた連中が慌てて引き上げた結果、前述の状況とあいなったのである。
 
 ソコソコ被害は出たものの、幸い家屋敷や食料その他の備蓄はそんなには荒されて居らず。村はどうにか冬は越せそうな様子であった。

「今夜はどうぞ此方に。」

 慌てて清掃されたらしい村長の家の一室に寝所を作られる。
サスケ自身はとっとと帰りたかったのだが、救出した下忍を含め他の連中はまだ疲労の色が濃く直ぐに無理は出来なかったのだ。だから致し方なく泊まらせて戴く事にした。

のだが

 夜半。この様な状況で熟睡出来る神経を持ち合わせていないサスケは、布団を抜け出し外に出ようとした。正直言って、一般人がうようよ居る他人の家では眠っても神経が休まらないのである。だったら屋外の安心出来る場で仮眠でもとる方が余程休息を得る事になる。

 と、言う訳で。音も無く家を抜け出したのだが…
村の集会所の明かりが点いているのに気付き、そっと忍び寄った。
中には彼が助けた下忍の一人と村の若者が数名。皆、サスケと同年代か少し上辺りである。

「本当、綺麗な顔よね…」
うっとりと村娘が言えば
 
「肌も綺麗だよなっ忍とは思えない位。」
と村の若者が続ける。

「でもあの人は上忍だぞっエリートなんだ。」
下忍が…何故か判らないが…威張るのに
 
 
write by ちゃきっ様@天手古舞
[http://www.geocities.jp/thuyoiiru/]

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