Happily Ever After

□Happily Ever After
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UP DATE:2020/08/18 write by kaeruco。
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 Happily Ever After
00:and now


 城戸邸の壮麗な客室の居間に揃ったのは黄金聖闘士の中で女神アテナに反逆して生命を落としたサガ、デスマスク、シュラ、アフロディーテら5人。
加えて、海皇を誑かして海龍の海将軍として世界を危機に陥れ、後に兄に代わって双子座の黄金聖闘士として聖戦を戦ったカノン。
そして鳳凰座の一輝、龍座の紫龍、アンドロメダ座の瞬ら青銅聖闘士の3人。

 大柄な大人たちが3人並んでも余裕のあるソファにサガと一輝、カノンが座り、対面にはデスマスクにシュラ、アフロディーテ。
紫龍と瞬は少し離れた場所に置かれたワゴンの横に椅子を並べて腰を下ろしている。

 まだ状況が把握できず、また面識のない人物が居て戸惑う者もいる中、一輝が口を開いた。

「それぞれで疑問もあるだろうが、まず状況説明をさせてくれ。ここは日本の東京。かつて女神アテナをアイオロスから託された城戸光政という男の邸だ」

 その言葉で、彼の背後に飾られた肖像画に描かれた威厳ある老人が何者で、一輝の表情が苦々しい理由を聖域に居た4人は悟る。
あの老人こそアイオロスがアテナを託した城戸光政であり、彼ら青銅聖闘士たちの父親である、と。

 しかしその事に言及するよりシュラはアイオロスの名に言葉を失って表情を無くし、サガやデスマスクは予想通りだったのか納得したような表情を見せた。
けれどアフロディーテは自身の気になっていた事を敢えて口にする。

「それはだいたい把握しているさ。で、そういう君こそ誰かね? あと君の隣にいる人物についても説明して貰いたいんだが?」

「オレは鳳凰座の一輝。そこにいる瞬の兄だ。そして、コイツは見ての通り、サガの双子の弟でカノンという」

「なるほど、君が噂のアンドロメダの兄か。面白い程、似ていない。だが、君の方が話が通じそうだ。それにカノンとやら。確かに見た目だけはサガにそっくりだが……残念ながら中身は別人だな」

 傾国の美女のような微笑で居丈高な物言いをしながら的確な人物評をするアフロディーテに動じもせず、一輝は再度まずこっちの話を聞いてからにしてくれ、と釘を刺す。

「この邸は今はアテナ───城戸沙織の物で、オレを含め10人の青銅聖闘士が暮らしている。後で他の兄弟たちを紹介する事になるから、互いの紹介はそこでしてくれ」

「分かった。話の腰を折ってすまなかったね。続けてくれたまえ」

 自分たちの前に置かれたティーカップの中身が白湯であった事に文句をつけようとしていたデスマスクを視線で留め、アフロディーテは一輝に話を始めるよう促す。
どうやら自分の疑問を解消するついでに、他の者を牽制してくれたのだろう。

 気が回るのか自己中心的なのか判断しかねるアフロディーテの言動だが、一輝も気にせず説明に戻る。

「……まあ、あんたたちも察しは悪くないだろうから、おおまかには理解はしてるだろう。端的に言えば聖戦が終結し、神の恩恵で死した戦士はただの人として蘇ったって事だ」

 蘇った彼らにはもはや聖闘士としての力はなく、反逆者であるこの場にいる5人は聖域へ戻る事はできない。
そう告げれば絶望の表情に変わる者と、納得した顔つきとなる者に分かれた。

「今頃は聖域でもアテナが他の蘇った聖闘士たちに事の次第を話して聞かせているはずだ」

「で、聖域に出禁になったオレたち集めて、何しようって?」

 文句をつけるつもりだった白湯を飲み干し、人の悪い笑顔でデスマスクは問う。
が、自分より大柄なだけの人間に多少凄まれた所で怯む一輝ではなく、むしろ女神からの無茶振りの愚痴を吐き出した。

「それはアテナに聞いてくれ。オレはお嬢さんと会うに当たって、あんたたちの身形を整えておけと丸投げされてな……」

 何しろ神々の恩恵によって蘇ったのは彼らの魂と肉体だけで、衣類にまでは神の慈悲は及ばなかった。

 聖域の教皇宮で聖闘士たちの蘇りを待っていたら神々しい光が満ちた後に全裸の元聖闘士達が続々と姿を現したのは中々の衝撃映像であったし、結構なパニック状態でもあった。
とにかく立ち会っていた女神や女性聖闘士、それと未成年には見せてはいけない、と自分たちも未成年なのに年長者達が右往左往したのである。
 
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